公開課題003 junくんの場合
たくさんの方が公開課題に取り組んでくださったことを心から感謝しております。ここで001、002、003の作品の募集をいったん終了させていただくことにいたしました。これからもときどき短いけれど骨のある課題を出題していこうと考えておりますので、よろしくおねがいします。さて、001の作品と講評の掲載を承諾してくださったjunくんが、また課題に取り組んでくださいました、junくんへの講評は、わたしの中では、市販のカレールーで言えばジャワカレー辛口くらいの、かなり手加減なしの部類に入るのですが、それに懲りず、真摯に問題と向き合ってくださいました。junくん、ほんとうにどうもありがとう。それでは、junくんの作品と講評をご覧ください。-------公開課題003-------[作品]1小石やごみ2小さなミス3影の薄い人-------[講評]どれも誰もが「無視」してしまいがちなものごとですね。シンプルで伝わりやすくて、なかなか良い作品です。でも、欲を言えば(わたしはついついjunくんにはレベルの高い作品を求めてしまうのですが)、「黙殺」ということばの強さに注目してほしかったです。「無視」より明らかに強い表現ですよね。何しろ漢字から読み取るに、「だまってころされてもしかたがないほど無価値で、まるっきり気にするのに値しない」という意味なのですから。そういう点において、Junくんの比喩2,3は、どれも「無視」されてしまいがちなものですが、「黙殺」されてしまうほどではない気がします。1については、ぜひ考えてもらいたいことがあります。文章で比喩を使うのは、ひとつのことばでは言い尽くせない「書き手のイメージ」を、「読み手のイメージ」に近づけるためですね。しかし、ひとつのものをたとえるときに、2つ以上の例をあげると、むしろ読み手のイメージがずれてしまうことがあります。小石とごみ、「不必要でうちすてられたもの」という部分では似ていますが、そのことばから受けるイメージは全然違うと思いませんか。こういうときにはきっぱり、どちらか1つ、つまり「小石」のみか「ごみ」のみにするといいですよ。そっちのほうが、むしろ伝わりやすく、かっこいいです。ちなみに、出典は横光利一の「頭ならびに腹」という短編小説で、もしこれが文学史の問題であれば、こたえは「石」ということになります。junくんは課題003のニアミス賞でした。それだけよく課題文をよみとれていたということになりますね。すばらしいです。これからブログで、ほかのみなさんの作ったたとえをご紹介したり、よいたとえや、この出題の意図ついてまとめたりしていきますので、時間があるときにぜひごらんください。