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農民の戦国博物館

第四項:利用されるもの

題:マネキン


僕の視界は変わらない。動きたい。でも動けない。
僕はマネキンなのだ。毎日子供服を着飾られ、お店の前に突っ立てるだけ。
マネキンに生まれてきたことを恨む日々。
僕の目の前で店長と何処かの業者らしき人が話してる
「このマネキンもそろそろ処分ですかねぇ」
「えぇ。汚れてますからね。我が社の最新のマネキンは……」
え……? 僕は捨てられちゃうのかな。でも、捨てられるっていうのも
ゴミ捨て場までの景色が楽しめるし、別に良いかなって思ってる。
業者と店長の話は続く。
「そうですか。処理はどうしましょうか?」
「それなら、我が社が引き取りましょうか。丁度古マネキンの出荷依頼があったんですよ」
なんだろう。僕はどこかに連れて行かれるのだろうか。
どこなんだろう。出来れば美しい景色で、四季の彩りがあるところが良いなぁ。

――数日後。業者のトラックが来た。
僕は乱雑にトラックに投げ入れられた。少しムッと思ったが新天地にどきどきしていた。
中は薄暗く、僕と同じような古くて汚れたマネキンが積まれている。
一部のマネキンは泣いているように見えた。
「それじゃ開けて下に降ろして」
業者の声が聞こえる。何処なんだろうか。不安と共に胸の鼓動が高鳴る。
僕がトラックから降ろされて見た景色。それは真っ暗で倉庫の中のようだった。
訳が解らなく戸惑っている僕。そして、混乱しているうちに
どこかの中に押し込まれた。
冷静に見て見ると、車の中だった。僕は運転席にいて、もう一個のマネキンが助手席にいる。
「衝撃実験スタート!」
車が独りでに走り出し、気付いた瞬間僕は粉々になっていた。
「失敗か。次はもう少し強度を上げたやつにマネキンを乗せろ。」




感想:なんていうか。
初作品(非公開w)以来の真面目物なんですが。
少しお涙ちょうだいてきな感じが出てますねw
う~ん。60点。

伝えたかったこと:物を大切にしない人間。
マネキンの不安。


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