日本の原風景
向こうから歩いてくる農家のおばちゃんが笑顔で私に話しかけてくる。「写真を撮るのかね。」「あそこがいいよ。」と、教えてくれる。そこは私が撮ろうと決めていた場所だ。なんでも、おばちゃんの故郷新潟の風景に似ているのだという。そして、おとうちゃんに拾われてここに来たのだそうだ。にこにこしながら話してくれた。おばちゃん、とても幸せそうだ。いい風景は人に教えたくなるのでしょうね。さて、30分ぐらい待って、さっき決めた撮影場所に戻った。手前が水田、奥が森、線路は見えない。突然、列車がやって来る、という情景なので幻想的ですらあります。左側の水田にいた白鷺は右側の水田に移り、しばらくして飛び立ってしまいました。「ああ、ここは日本の原風景だなあ。」たった一両の列車は、よそ者の私に郷愁感を残し、走り去って行きました。 撮影 2008年5月22日 小湊鉄道 上総久保ー上総鶴舞間