神谷ちづ子・ついつい・一言

2014/05/01(木)10:52

85歳の女性に、認知症患者保護義務違反で、360万円の賠償

  認知症の男性(当時91歳)が列車にはねられて死亡した事故で、JR東海が男性の遺族に遅延損害など約720万円の賠償を求めた訴訟。どうなるのだろう、と気になっていましたが、先週、名古屋高裁の長門裁判長は、男性の妻と長男に全額の賠償を命じた1審・名古屋地裁判決を変更し、妻のみに約360万円の賠償を命じたそうです。 判決理由は、「同居していた妻は配偶者として男性の保護者の地位にあり、夫が老齢や疾病、精神疾患などで自立生活を送れなくなった場合、生活全般に配慮し、介護、監督する義務を負う」からだとか。他方、 1審判決で監督義務があるとされた長男については、「男性の扶養義務者に過ぎない」とし、「20年以上も男性と別居しており、賠償責任を負わせるような監督者に該当しない」と判断されたようです。 一見、より遺族側に立った判決にも見えますけれど、しかし、要介護1の85歳の妻に、認知症を患った大の男の行動を四六時中見張るのは、どう考えたって無理な話でしょ。かつ、おそらく年金生活だろう85歳の女性に、360万円は厳し過ぎる。ひどい話です。裁判官の中に、認知症患者を家族や周囲に抱えている人は、いなかったんでしょうかねあまりに想像力に欠ける判決に、気持ちが重くなります。こういう裁判こそ、裁判員制度を利用して欲しいですよ。今回、賠償請求が、まかり通ることになった以上、今後、鉄道会社は、堂々と賠償金を要求してくることになるのでしょう。「とても、家族では面倒見切れない」と、認知症患者は、ますます施設に入れられる方向になるのだろうし、鉄道での人身事故やら、なにやら、あらゆる事故に対して、賠償を要求されるようにもなるのでありましょう。他人事ではないですからね、明日は我が身。 もう、保険に入っておく他、防衛の方策はないのじゃないかそんな保険が、あれば、ですけど。世知辛い世の中になって行ってますよ。 

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