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カテゴリ:ひろし少年の昭和ノスタルジー
だが右隣の富久寿司とは、お互いに商売上の不利益が全くないどころか、冨久寿司は職人のおやつをひろし君の店で買い、ひろし君の家では、来客時の出前や遠足の折詰寿司などを冨久寿司から買っていた。だから子供同士も非常に仲が良かった。 信ちゃんちの小父さんをはじめ、長男や職人さんは将棋好きだった。だからりっぱな将棋盤と駒が2台もおいてあった。それをひろし君や信ちゃんが見逃すはずはなく、将棋の指し方を職人さんに教えてもらったのだが、やはり小学生低学年のひろし君たちには、まだ難し過ぎてなかなか馴染まない。それで本将棋を指すのは諦めてしまったのだが、長男から別の遊び方をいろいろ教えてもらった。 囲碁のほうは本囲碁以外には、五目並べくらいしか遊べないのだが、将棋のほうはかなりいろいろな遊び方がある。まずは「ハサミ将棋」で、使う駒は「歩」だけであるが、この歩は飛車のように縦横無尽に動かすことが出来、自分の駒で縦横に相手の駒を挟めば取れるというシンプルなルールなので、ひろし君にもすぐ覚えることが出来た。 もうひとつは「まわり将棋」である。金4枚をサイコロに見立てて盤上で振る。表が出たら1点、横に立ったら5点、縦に立ったら10点、斜め部分で立ったら「センコ立ち」といって50点などと数え、双六のように将棋盤の周りを点数分だけ動き回ってゆく。スタート時は「歩」からはじまるのだが、一周すると裏返しになり、さらに一蹴すると「香車」に出世するのだ。また次が「桂馬」「銀」「角」「飛車」『王将」といった順である。 ほかにいくつかの遊び方があったが、ひろし君たちはこの「まわり将棋」に一番はまり、夢中になって気がついたら夕方になってしまった、ということが何度もあった。現代流にいえばゲームボーイのような存在だったのかもしれない。だからこそ将棋には、囲碁にはないノスタルジックな親近感が湧いてくるのだろう。
作:五林寺隆 ※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。 またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.03.14 12:18:54
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