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2017.09.13
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 ひろし君の家は梅ヶ丘駅前商店街のはずれに近いのだが、それでも駅から徒歩1分程度の距離である。向かい側に大きな金物店があり、寿司屋、洋品店、牛乳店、酒屋、床屋などが軒を連ねている。
 その中に普通の商店とも言い難く、会社員の住宅とも異なる雰囲気の家があった。あとで分かったのだが、映画や演劇で使う衣装を貸し出している家だったらしい。

 その家の子供は男子2名と女子1名で、長男は中学生の勝也、次男は小学6年生の健二で、その妹がひろし君より二つ年上の笹子という女の子であった。健二は腕っぷしが強く、だいぶ年上なので近所のガキ大将だった。
 ある日その健二から招集がかかって、ひろし君をはじめ近所の子どもたち7~8人が集まった。皆それぞれパチンコ、おもちゃの刀などを手にしていたが、健二以外の年齢は7~9歳と本当のガキばかりだった。
 健二の話では、学校の同級生であるうなぎ屋の息子と喧嘩をし、これから線路向こうのねず山で決斗するというのだ。それで相手もガキを引き連れてくるので、お前たちにも加勢してもらいたいとのことらしい。

 「エイエイオー!」と気勢を上げて、ひろし君たちは決斗場所のねず山に向かって急いだ。全くの子供だったひろし君は、後先のことは何も考えずに、尊敬する健二の命令に従っただけだったのだが、ねず山に到着してびっくり仰天、というより猛烈な恐怖感に襲われてしまった。
 敵は総勢20人位、しかも皆上級生ばかりなのである。そして彼等はひろし君たちを見つけると、大声を挙げて猛然と襲い掛かってくるではないか。これではとても勝ち目はない。ひろし君がそう考えると同時に健二も同じこと悟り、全員に退却指令を飛ばした。

 ひろし君たちは喧嘩も何もせず、ただただ逃げまどった。あの踏切を超えれば自宅のある安全地帯に戻れるのだが、運悪くチンチンと警報機が鳴り、遮断機が下りているではないか。まだ電車は遠くのほうに見えるので、遮断機を潜って渡れないこともないのだが、踏切番のおじさんが睨んでいるので無理だ。
 後ろを振り向くと、もの凄い形相をした敵が、間近に迫ってくるではないか。それでこの踏切は諦めて、隣の駅の豪徳寺近くにある次の無人踏切まで逃げることにした。もう後を振り返っている暇はない、健二とひろし君は必死に走った。ほかの仲間たちは、どうやら戦意喪失で捕虜になったようである。

 健二とひろし君は、無事に豪徳寺近くの踏切を越えて逃げ切ったのだが、健二がこのまま引っ込んでいるはずはなかった。読みが甘かったとひろし君に謝り、先に家に帰るように命じて、どこかに消えてしまったのである。ではそのあとの結末はどうなったのだろうか。
 健二は戦力にもならない幼いガキたちを招集したことを反省し、同級生や知り合いの家々を訪ねて敵と同じくらいの人数を集めて、再度ねず山に向かい敵と痛み分けとなったようだが、その詳細はひろし君には教えなかった。ただ捕虜になった数人は、余りにも幼過ぎると言うことで、敵がすぐ解放してくれたようである。


作:五林寺隆

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最終更新日  2017.09.13 12:08:34
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