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2018.02.06
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カテゴリ:小説

江戸っ子はつらいよ 4



 さてさて、、井戸端の魚屋の寅次郎、おたよ婆さんの酒もほどほどに入り、長屋のおかみさんに囲まれて、益々調子づいて、鰹をさばき、「さあ、お美代ちゃん、おっかさんに食わしてやってくれ、初物75日といってね、初鰹を食えば寿命が延びて元気になると、昔から言われてるんだ、、」と、お美代に鰹を渡そうとしたとき、ぬっと顔を出したのが、よれよれの食い詰め浪人の加古無貧左衛門だった。
 腹がすているのか、加古無貧左衛門の腹が「ぐう-ぐう-」と鳴った。
「あら、まあ、腹の虫が泣いて、可愛そうに、、」長屋のおかみさん、同情か哀れみか加古無貧左衛門をからかった。
 それを見た、寅次郎、普段は貧左衛門と、あまり口を利かなくとも、そこが気前が良くて、人情に厚い江戸っ子の親切心だ、「貧左衛門さん、、おめえのかかあにも初鰹食わしてやんな」と、寅次郎が皿に盛った鰹を貧左衛門の前に出した。

 だが、貧左衛門、見下されたと、と感じたのか、武士の尊厳が傷ついたのか、
「武士に向かって、なんと申した、儂を乞食扱いしたな、この戯け者が、、」と、言って、鰹の乗った皿を手で払った。高価な鰹は空を飛んだ。
「ああっ、もったいないよう、、」
長屋のかみさんはすぐに拾って、嬉しそうに洗ったが、江戸っ子の寅次郎、それではおさまらねえ、、、べんべん、、喧嘩のきっかけはいつも他愛のないものから始まり、大事になるのであった。
 見栄っ張りで強がりで、向こう見ずで喧嘩っ早い江戸っ子と、気位が高く、尊厳と名誉を重んじる武士がぶつかればなおさらだった。
「おいっ、お侍だがなんだか知らねえが、なんでい、人の親切をこけにしやがって、、、」
「黙れ!魚屋が、息がってるんじゃねえ、たかが鰹の端切れ一枚でグダグダぬかすな、、」
「ふんっ、痩せ我慢も、ていげいにしやがれ、腹の虫がうるさくて、猫も寝てられねえててよ」
「おのれ、武士を愚弄するとは許せぬ、武士の沽券にかかわることじゃ」

 加古無貧左衛門、腰の刀に手をかける。こうなると、もうどうにもとまらない。売り言葉に買い言葉、喧嘩慣れしている寅次郎、威勢のいい啖呵を切ることで、益々気分が高揚し、自分の啖呵に酔っているようだった。
「馬のしょんべんでもあるまいし、いつまでぐづぐづ言ってねえで、斬れるものならさっさと、この首刎ねていただきやしょう、ぱっと咲いて、パッと散る、それが江戸っ子ってえもんだい!」
 さあさあ、、こうなると、江戸の町民は喧嘩を見て、はしゃぐのが大好き。人垣はいつの間にか二重三重になっていた。
「いいぞいいぞ、寅次郎、さすがは江戸っ子、侍なんかに負けるな!」
 侍嫌い、町民贔屓の庶民は寅さんにやんやの喝采をおくる。おだてられ、気持ちが良くった寅次郎もいい気なもんで大勢の眼が見ている中で、首を刎ねることなんざできるわけがないと高を括って、もろ肌脱いで、胡坐を組んで、言いたい放題、
「刀なんぞを恐がって、このお江戸じゃ、生きていけねえよ、さあ、腐った魚の腸(はらわた)のような刀でおいらの首が刎ねられるかってんだい、それとも、鞘の中はまさか竹光じゃあるめいな、とんとんちきのぼんくらの野暮天侍め、、、」

 困ったのは、加古無貧左衛門、腰の刀に手をかけたまではよかったが、その手が震えて動かない。穴があったら入りたいが、穴もなく、どっちをむいても冷たい町人の視線が突き刺さる。
 --誰か止めてくれ!--と心で叫ぶが、武士の沽券にかかわるから口には出せない。冷や汗が頭から額からどっと流れ、からきし意気地をなくし、おどおど、びくびく、顔は青ざめ、もうどうにもならない、頭の中は真っ白け、眼は焦点が定まっていない。
 それを見た、寅次郎、背筋が寒くなり、これはやばい、斬られるかもしれぬ、威勢のいい口先とは裏腹に、寅次郎は恐怖を感じ、股間に熱いものがこぼれる。
「誰か止めてくれ!」と、、寅次郎も心で祈る。
 だが、二人を取り巻いた町民たちは不幸な結末を喜ぶ、残酷な心を隠して、無責任に煽り立てた。
「さあ、さあ、さあ、どうする、どうする、江戸っ子、寅さん!、」と追い詰める。
 寅次郎、ここで引いては江戸っ子の名が廃るとばかりに心で泣き、強がりを言う。
「どうした貧乏侍!腰の刀まで腑抜けになったか!それとも、褌が外れたか!」
 ついに、加古無貧左衛門の堪忍袋の緒も切れた、刀身を抜き、目を瞑り、
「わあああああっ!」と、喚きながら、滅茶苦茶に刀を振り回した。
見物人は驚いて後ずさりするが、意地と見栄で、胡坐を組んだまま動かない寅次郎、その首に、加古無貧左衛門の刃があたり、どっと、血しぶきがあがった。斬るつもりはなかった、斬られるとも思ってなかった。運が悪かっただけのことだ。
 これが江戸っ子の見栄と意地のつっぱり死、というもんでありましょうか、、、それならば、寅次郎、あっぱれ江戸っ子として、ほめたたえましょうか、それとも、寅次郎、あの世で「江戸っ子はつらいよ」と呟いているのだろうか。

 かけよった女房のお里とお美代、
「あんた、死んじゃったの、、、」「寅次郎さん、死んだのね、、」
 お里とお美代、虎次郎の体を抱いて、脈をとり、眼を覗きこみ、虎次郎の死を確かめた。二人の視線がぶつかった。そこに悲しみはみられず、むしろ安堵の空気が流れた。

 ---そうそう、そういえば、江戸っ子の中の江戸っ子の、鳶の町火消、日本橋の正五郎どんも、先日の火事場で、屋根から落ちて死んだそうだよ、、
--べんべんべん、お江戸の長屋のお粗末なこぼれ聞きでござんした。
 まあ、人生なんてものはちょいとしたきっかけで天国地獄、どっちにも転ぶもんだ。くよくよしてるうちに、終わっちまうなあ、、、、。


(おわり)

作:朽木一空


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Last updated  2018.02.10 10:50:38
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