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カテゴリ:ひろし少年の昭和ノスタルジー
ひろし君の家は和菓子屋だが、父の紘一郎と母のみつ子の二人が経営者兼主な労働者でもあった。だから毎日毎日が忙しくて、子供達の相手をしている余裕がない。そんな状況だから、病気にでもならない限り子供たちはほったらかしだ。と言うより子供たちを、労働者の一員とみなしていた。 かろうじてみつ子は、店が暇な時期の父兄会にだけは出席したことがあるが、長時間かかる遠足や運動会などの学校行事には参加したことがなかった。それでお弁当はいつもお隣の富久寿司に頼んで、のり巻きの折詰を作ってもらい、それにデザートとしてバナナを一本添えるというのが定番であった。 そしてやっとお弁当の時間である。ずっと先頭を歩いていたひろし君は、後列のほうに紛れているはずの山村君を探した。なぜかなかなか山村君は見つからない。もう皆が三々五々親と一緒にお弁当を広げ始めている。山村君は何処に行ってしまったのだろうか・・・。 ひろし君がやっと山村君を見つけると、彼は母親らしき女性と一緒にシートに座ってお弁当を広げているではないか。そのときやっとひろし君の姿を見た山村君が、ひろし君のほうに走り寄ってきた。そしてショッキングな言葉を吐くのであった。 予想外の展開にひろし君はがっかりしてしまった。親友の三山君は風邪をひいてお休みだし、いまさら一度断ってしまった小場君のところへ行くことも出来ない。仕方がないので大きな樹の下に一人座って、お弁当を広げることにした。 ひろし君が一人淋しくお弁当を食べ始めていると、なんと普段印象の悪かった近藤君が駆け寄ってきた。そして「あっちで一緒にお弁当を食べようよ」とひろし君の手を取り始めるではないか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.02.11 10:50:06
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