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2018.04.20
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 これでもかというばかりに桜が咲き誇っている。
 首を吊るのにいい枝はないかと、寒い木枯らしの霊園を彷徨ったが、桜はみな老木で、首を吊れば、折れそうな枝ばかりで、諦めた冬が思い出された。

-冬蜂の死にどころなく歩きけり - 鬼城
-ゆさゆさと大枝ゆるる桜かな  - 鬼城

 桜の下を、あてもなく ふらふらと うろついている男がいた。
 やがて、男は古い墓石の前に腰を降ろし、酒を飲みながら、華やかな花の群れから離れて、老木の幹のごつごつとして、醜い皴のような幹にしがみつくようにして、ひとり離れて咲いている花にぶつぶつと独り言のように話しかけた。

-明日ありと思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかは- 

 男はこの歌が好きだった。既に男の明日は壊れてしまっているのに、まだ、何かを期待してなければ生きていけない自分が悲しかった。親鸞聖人九歳の時の和歌だと云う。

-さまざまの 事おもひ出す 桜かな -  芭蕉
-桜咲き さくら散りつつ 我老いぬ -  芭蕉

桜で飲み、酔いとともに、芭蕉の句が男の体に滲みた。

-徘徊し 花に誘われ 独り言-      退月
-これでもか 花ひろげられ 我沈む-   退月
-ごつごつの 醜木に咲く  一人花-   退月
-咲きもせず、散りもせぬ花 ぐずぐずと- 退月

 退月は男の俳号である。


作:朽木一空


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最終更新日  2018.04.20 13:36:12
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