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カテゴリ:ひろし少年の昭和ノスタルジー
そのころ自分専用の自転車を持っていたのは、同級生の男子の1/3にも満たなかった。ひろし君の家は決して裕福ではなかったし、むしろケチだった紘一郎がひろし君に子供用の自転車を買ってあげたのは、ある魂胆があったからなのだ。つまりそろそろ和菓子の出前や仕入れの仕事を、ひろし君に手伝わせようと考えていたからである。 もちろん商売用の頑丈で大きな黒色の自転車が2台あったのだが、余りにも大きくて重いため、子供が乗るのはかなり難しい。それをひろし君が乗りこなせるようになるには、少なくともあと3~4年はかかってしまうだろう。それでは家業の手伝いも広がらないし、お使いなども制限されて何かと不便である。そう考えた紘一郎は、ひろし君が3年生になったのを機会に、22インチの子供用自転車を買い与えたのである。 それでもひろし君はこの自転車を見せびらかしたくて、用もないのに同級生たちの家に自転車で乗り付けたものである。そんな同級生の一人に山城君という背の高い男子がいた。 ひろし君の背中には、小百合の身体がピッタリと引っ付いている。優しい微風がとても気持ちよい。そして両手でしっかりとひろし君の腰を掴み、背中にピッタリと顔を埋めている小百合の息づかいと甘い匂いにドキドキしてしまう。ちらりと後ろを見るとハアハア言いながら、山城君が走ってくる。やっぱり僕が運転して良かった。 ひろし君はとても快い気分で走っていた。この瞬間が永遠に続くと幸せだなと感じながら・・・。ところが吉永君の家までの半分近く走ったところで、道路に沢山の砂利が撒かれている場所があった。なんとなく嫌な予感がしたが、あっという間に砂利に巻き込まれてハンドルをとられてしまった。 そこへ走ってきた山城君が割り込んできた。 作:五林寺隆 ※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。 またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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悲しい男さんへ
皆同じような経験があるのですね。ひろし君はこれにも懲りず、何度か吉永君の家に遊びに行きました。もちろん、吉永君はどうでも良く、彼の美人ママとお菓子に釣られて行ったのでした。 小百合ちゃんとの話は、またそのうちお話します。・・・(-_-;) (2018.12.07 11:13:08) |