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カテゴリ:ひろし少年の昭和ノスタルジー
マンガだけは誰にも負けないくらいよく読んでいたひろし君だが、小説はおろか絵本の類も読んだことがなかった。母親のみつ子は、そんなひろし君を見ていて、このままではバカになるのではないかと心配でしょうがない。 はじめは余り興味の湧かなかったひろし君だったが、産まれてはじめて読んだ小説の面白いこと。二流マンガよりずっと面白いし、いろいろな知識が身についたような気がするのであった。 それから3か月後に、商店街の小旅行があった。貸し切りバスで江の島へ海水浴に行くのである。バスの中は床屋のおじさん、酒屋のおばさん、米屋の娘たちなど、よく知っている顔で満杯だった。 一通り皆が歌い終わると、今度はお約束のバスガイドさんの歌がはじまる。さすがプロ級の上手さに、またまた拍手大喝采。そのあとにいよいよ、ひろし君が待ちわびた『なぞなぞタイム』が始まったのである。 「ひろし、凄いじゃないか」と紘一郎に褒められたせいか、俄然ひろし君は調子に乗ってしまった。そして「今度は僕がなぞなぞを出します。お日様は、朝と夕方は大きく見えるけど、昼は小さく見えるのはなぜでしょう?」 「君は東大に行けるぞ!」と大歓声、そしてまたまた拍手大喝采。ひろし君は嬉しくって堪らない。紘一郎も満足そうに頷いている。ただこれは『とんち彦市』の中のお話をそのまま流用しただけであった。でもひろし君にとっては、めったに褒められない『紘一郎の心証を良くした記念すべき日』だったのである。 作:五林寺隆 ※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。 またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.08.09 13:14:37
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