ゴルフ会員権
NHKの土曜ドラマ「魂萌え!」で、ゴルフ場から、年会費支払の督促状がきたにもかかわらず、証券が見つからない、というところで終わりましたから、今日は、ゴルフ会員権についてです。 ゴルフ会員権の形態には、各種あります。 最も一般的なのが、預託金制の会員権。 一定の据え置き期間経過後には、預託金の返還請求権が発生するというもので、この形態のゴルフ会員権は、預託金返還請求権とゴルフ場の施設利用権という2種類の権利が合体した権利だと考えることができます。 預託金返還請求権だけなら、譲渡も相続もできるのですが、施設利用権の方は会則に縛られます。 会則に、たとえば、「会員は、死亡のときにその資格を失う」とあれば、施設利用権は相続できず、預託金の返還請求権だけを相続する、ということになり、「会員権を譲渡するには理事会の承認を要する」とあれば、理事会の承認が必要ですし、さらに、譲渡の際には、名義書換料を支払うようにあれば、そのようにする必要があります。 また、会則に規定があれば、年会費を支払う必要もあります。 つぎに、株式会社制。 次の社団法人制と同様に、社員(株主)即施設利用権者という形態です。 株式会社ですから、当然出資金の払い戻し請求はできません。 最近、預託金制のゴルフ場が、預託金を支払えないので、株式会社制に形態の変更を行っている、とのことです。 三番目に、社団法人制。 民法上の公益法人で、積極的に不特定多数の利益を実現することを目的として事業を行う必要がありますから、昔は、「体育の振興に役立っている。」、とかの名目で、主務官庁の許可が取れたのでしょうが、今設立するのは、まず、無理でしょう。 社員たる地位は、原則、相続も譲渡もできないのですが、民法37条6号の解釈で、定款に記載すれば、可能です。 名門ゴルフ場に多い形態です。 そのほかに、任意団体であるものや、中間法人のものや、株式会社に預託金制を組み合わせたものもあります。 「魂萌え!」のストーリーは知らないので、まったくの想像ですが、亡くなったご主人が、預託金制のゴルフ会員権を担保にお金を借りて、それを、愛人に貢いだのだと考えています。 その場合は、通常、ゴルフ会員権を質に入れた、ということになり、借りたお金を返さなければ、質権者は、貸した金額の分まで、預託金返還請求権を行使して、ゴルフ場から直接取り立てることができますが、年会費と相殺しても残りがあれば、奥さんと子供が相続できます。 足らなければ、借金を相続する可能性もあります。