低入札価格調査制度(2)
前回も書いたのですが、ここで、総合評価落札方式の入札で、最終的に、低入札価格調査制度で落札者が決定した事例を見てみました。 それで、思ったことですが、総合評価方式の、評価項目の設定や、それを数値化する、評価基準にもよるのでしょうが、総合評価の影響は、今のところ、限定的な感じがします。 入札価格だけの順位に影響を与えるのは、入札価格がかなり近い業者の間だけのことです。 それに対して、低入札価格調査制度のインパクトは大きい。 落札者決定過程の最終段階で、失格、合格の判定をされるので、「失格」と判定された業者は、本人に身に覚えがない場合は、納得できないでしょう。 実際、どのように判定されるのかという点への関心は強く、関連の裁判もあったようなのですが、役所の方は、疑義をはさむ余地がないほど明確に合否の判定ができるものかどうか。 それで、最初に紹介した実例の、入札価格だけをみると、業者名 入札価格 順位 A 131,900,000 2 B 130,000,000 1 C 159,250,000 12 D 170,000,000 14 E 135,099,000 4 F 148,800,000 8 G 136,080,000 3 H 141,400,000 6 I 146,300,000 7 J 159,250,000 11 K 156,880,000 9 L 153,230,000 10 M 139,990,000 5 N 159,250,000 13 O 辞退 P 辞退 (順位は、評価値の順位で、入札価格だけの順位とは多少異なる) と、なっており、Hの、141,400,000 円は「失格」で、 Iの 146,300,000 円 は「合格」となる、疑義をはさむことができない合理的な根拠を示すことができるか、という問題です。 地方公共団体の低入札価格調査制度の根拠となっている地方自治法施行令167条の10第1項は、(一般競争入札において最低価格の入札者以外の者を落札者とすることができる場合) 「第167条条の10 普通地方公共団体の長は、一般競争入札により工事又は製造その他についての請負の契約を締結しようとする場合において、予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもつて申込みをした者の当該申込みに係る価格によつてはその者により当該契約の内容に適合した履行がされないおそれがあると認めるとき、又はその者と契約を締結することが公正な取引の秩序を乱すこととなるおそれがあつて著しく不適当であると認めるときは、その者を落札者とせず、予定価格の制限の範囲内の価格をもつて申込みをした他の者のうち、最低の価格をもつて申込みをした者を落札者とすることができる。 」 と、なっているのですが、 WTO政府調達協定13条4(a)は、「機関は、他の入札書に記載された価格よりも異常に低い価格を記載した入札書を受領した場合には、当該入札書を提出した入札者が参加の条件を満たし、かつ、契約の条件を履行することができることを確保するため、当該入札者に照会することができる。」 と、あり、本来は、「他の入札書に記載された価格よりも異常に低い価格を記載した入札書を受領した場合」を想定した制度なんでしょう。