「選別ですな、選別。」(その2)
一般に、農地改革は、戦後の諸改革のなかでも、最も成功した改革だ、というようにいわれていますし、たぶん、そのとおりなんでしょう。 しかし、「最も成功した」などといわれると、竹田信玄が言ったかもしれないといわれる次の言葉を思い出します。 「およそ軍勝五分をもって上となし、七分をもって中となし、十分をもって下と為す。その故は五分は励を生じ七分は怠を生じ十分は驕を生じるが故。たとへ戦に十分の勝ちを得るとも、驕を生じれば次には必ず敗るるものなり。すべて戦に限らず世の中の事この心掛け肝要なり」 (ウィキペディア竹田信玄から) 農地改革の成果を法律にしたのが農地法です。 で、原形は、農業は所有する農地でやりなさい、借地で農業をするのは、小作問題が、また、発生するからダメ、どうしても、借地でする場合は、賃料はスズメの涙ほどにしなさい、また、自分で耕作できる以上に農地を買って規模を拡大するのはダメよ、というようなものです。 いくらなんでも、これでは、時代の流れについていけないので、現在は廃止されている農業基本法(1961年成立)などの別のことを行う法体系を持つと同時に、農地法には、矛盾する内容を追加して、対処している。 そのため、農地法は、現在、何をしたいのか、さっぱりわけのわからない法律です。 思うに、農地法は、農地はかくあるべし、という形で根拠を与えている零細農家・兼業農家に、必要以上に政治力を与える機能をもつことが、いままで、根本的な改正がされなかった理由なのかもしれません。