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2006.02.24
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放課後の校庭。
部活も終わる頃、日が沈み行く。
その冬のある時期がとても好きだった。
辺りは深い赤に染まり、だんだんに暗くなって行く。
空が赤から黒に入れ替わる頃に流れる、その曲が。
誰が流していたのだろう。
その曲が流れる頃には、すぐ隣の音大の練習も終わり、いつもの弦の響きとか、音合わせもなく、ただその曲だけが、校庭に流れ、一日の終わりを促すかのように、そこに居合わせる生徒達を感傷的にさせた。

今日の練習はどうだった?
そうでもありませんでした。
そっか、試合は近いの?
ええ、明後日です。
がんばれよな。
はい。

いつも優しい先輩がいた。
サッカー部の三年生。
まるで子供と話すみたに話しかけてくれるけれど
私はもっと違う目で見て欲しいと思っていた。
でもその頃の二歳違いは、大人と子供みたいだった。

先輩の後ろ姿を見送るけれど、振り向きはしない。
疲れた足を引きずるように、去って行く。

二年生になって、先輩が高校生になった夏
花火大会に誘われた。
ずっと好きだった事を、誰かが先輩に教えてしまった。

花火がきれいで、彼の横顔がまるで絵みたいに見えた。
本当に自分がそこにいることが信じられなかった。
夢を見ているみたいに、花火を見ていた。
そして彼は子供の手を引くように、人混みに流されないように、離れてしまわないように、歩いた。

彼は、妹みたいに思っていると言った。
そして、もう少し大人になったら、きっともっと違う気持ちになるかもしれないな、と、都電の線路を歩きながら話した夜。

でも、そんな日は来なかった。
三年生になって全てはガラッと音を立てて変ってしまった。
素直な自分は消えてしまった。
ただ激しく日々変化する友人達の間で、良い事も悪い事も見境が無くなってしまったみたいに、反抗を繰り返していた。
一体何に反抗していたのだろう。
何に文句があったのだろう。
何に不足が・・。
甘やかされた世代の、目的の無い反抗なんて、何の意味があったのだろう。



失ってしまった時間は戻らないけれど、思い出すと聴くあの曲は、間違いなく、その時の時間に戻してくれる。
まだ幼くて、夕日が好きで、校庭に立ち、流れるその曲を確かに、先輩の横で聴いている私がいる。





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Last updated  2006.02.25 13:29:51
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