生き急いだNさんへ知人が亡くなった。私と同世代の54歳だった。「オイオイ、ちょっと待ってくれよ」と、 本人も戸惑っているのではないだろうか。 一年ほど前から、体調を崩して入院したとは知っていた。 しかし、あの元気一杯の人が、 そのまま終わってしまうとは考えたくなかった。 若い頃から様々な地域活動やボランティア活動に関わり、 この町でその人の顔を知らなければ「もぐり」とさえ思えるような人だった。 だが、あちこちに顔を出す人にありがちな、 傲慢さや偉そうな態度とは無縁の人だった。 その人の明るい笑顔に、どれだけ多くの人が励まされたことだろう。 外に出歩くことが多かったから、 家族サービスは不足気味だったかもしれないけれど、 家族を誰よりも愛していたことは、みんながわかっていたことだろう。 まだまだ生きていて欲しかった。 ちょっぴり頑固で自分の意見ははっきり主張するけれど、 一旦決まったからには決して文句は言わず、 率先して行動に移す人だった。 あれほど気持ちの良い人は、本当に珍しい。 人の何倍も何倍も、自分の出来ることを精一杯楽しみながら取り組んで、 それに伴う苦労をも、自分の喜びに変えていた。 まだまだ生きてやりたいこともあっただろうに、 死を前にして「俺は本当に幸せなやつだなー」と、 苦労を共にした妻に言ったという。 今の私は、その言葉に少しの救いは感じるけれど、 「どうしてみんなにとってこんなに大切な人を、こんなに早く連れて行くの!」と、 何かに向かって叫びたい。 人生は四苦八苦というけれど、 人の生き死にだけはどうしようもない運命だ。 今はまだ、私の中には その不条理さや理不尽さへの怒りが荒れ狂っているのだが、 何とか受け止めていくしかないのが人の死なのだ。 そして、生き急いだ彼の命や志を、 のろまな私が少し分けていただいたつもりで、 少しでも誰かの役に立てるように生きて行きたい。 Nさん、そんなに深いお付き合いはなかったけれど、 いつも尊敬してお手本にしていました。 今まで、みんなのために本当にありがとう。 ゆっくりお休みくださいね。 そして、あちらの世界から、愛する家族や友人達、 そしてこの町のみんなを応援していてくださいね。 (2004年01月31日) |