2005/10/13(木)13:32
JR道東フリーきっぷの旅、一日目。ふるさと銀河線。
ふるさと銀河線(北海道ちほく高原鉄道)が来年4月で廃止されると聞いてから、
一度この電車に乗っておきたいと思っていた。
それで、10月10日から3日間、「JR道東フリーキップ」を利用して、
銀河線を含めてぐるっと回ってくることにした。
早朝我家を出発し、南千歳駅で「スーパーおおぞら1号」に午前七時半乗り替え。
このフリー切符は、フリー区間までの往復は指定席が取れる。
朝が早いせいなのか、指定席車輌はガラガラ。
でもそれだけに、何だかとても優雅な気分。
出発した頃は薄曇だったが、トマムのあたりから快晴となる。
今年は暖かいせいか、まださほど紅葉が進んでいない。
それでも、山々は少し色づいていて、秋を感じさせる。
池田駅で、いよいよ「ふるさと銀河線」に乗り換える。
フリー切符ではこの路線は乗車できないので、
池田駅で北見までの切符を買う。
JR池田駅で購入することになるのだが、連休のせいか結構窓口に人が並んでいる。
「自動券売機」があったのでそこで購入しようと思ったら、
「新札は使用できません」とある。
アレレ・・と、また窓口の最後尾に並んでやっと切符を手に入れる。
池田から北見まで、3,410円。結構高いなという印象。
でも、赤字で廃止になるのだから、仕方がないだろう。
車輌は一両のワンマン列車。
池田を出発する時には、8割程度の乗客がいた。
ほとんどの駅は無人駅なので、
乗客は運転手後ろのドアから運賃を精算して降りることになる。
中には、「こんなところで乗り降りする人がいるのか?」と思う駅もある。
時々、列車待ち合わせのためか、停車時間が五分以上ある駅があり、
そんな時にはホームに出たり、時には駅外まで出たりして写真を撮る。
岡女堂駅は、甘納豆メーカー「岡女堂」の駅。
立派な駅舎だけれど、ここでは乗降客はいなかったような気がする。
足寄駅では時間に少し余裕があったので、
素晴らしい駅舎をぐるっと回ってきた。
「あしょろ銀河ホール21」という「町民ホール」のような建物で、
2階には足寄町出身・松山千春の記念ギャラリーがある。
ここでは、彼は英雄なのだろうな。
(ちなみに私は、彼の歌は好きだけれど、彼自身はあまり好みではない)。
以外だったのは、小屋のような駅もあるれども、
とても立派に最近建て替えられたと思われる駅も多いこと。
廃止になるかもしれないのにどうしてだろうという疑問は、
その後乗り合わせた地元の人によって教えられる。
多分、訓子府(くんねっぷ)あたりだったと思うが、
何人もの地元の人たちが乗り込んできた。
置戸町で、私の向かいに乗っていた青年が降りて空席になっていたため、
私は三人のおばさんたちと、膝付き合わせる形になった。
席に座って間もなく、向かい側のおばさん(多分、60代後半か70代)が、
「あんたも、銀河線のことで北見に行くのかい?」と聞いた。
「えっ? 私は銀河線に乗りたくて来たのですが、北見で何か?」と聞くと、
銀河線を残して欲しいと言う集会があるという。
私は、廃止が決定されたのだと思い込んでいたので、
「え、まだ残せる可能性があるのですか?」と聞くと、
小声で「ほとんど無理なのだろうけど、これがなくなったら困るからさ」という。
ああ、地元の人は必死なのだろうなあと思う。
その方たちのお話によると、特急を走らせようという話もあって、
主な駅は新しく改築されたのだという。
詳しいことはわからないが、その話を信じて、
多分地元の自治体や住民もかなりの負担をしたのだろうに。
この方達のように、車の運転ができないお年寄りにとっては、
正に便利な足を失うことなのだろう。
「今日は随分人が乗ってるねえ。いつもこんなに乗ってくれていれば、廃止にならないのに」。
そうか、いつもはガラガラなのだろうな、ということがよくわかる。
少しばかり私と話してくれたおばさんたちは、3人でおしゃべりを始めた。
「○○さん、乗ってないね。どうしたんだろう」
「きっと、車で行ったのかもしれないよ」
「そうかもしれないねえ。地元の人間が乗らなきゃ話にならないよね」
それを聞きながら、思わず私は心の中で呟いた。
「銀河線廃止反対の集会に、自動車で行っちゃいかんだろうが。
せめてそんな時くらいは、電車で行けばいいのになあ」
しかし、日常的に自動車を使っている人たちにとっては、
わざわざ高い運賃を払って、
(車よりは)不便な電車で行く気もしないのも本音だろう。
北海道の道路は、ここまで立派にしなくてもいいだろうと思うほどに整備されている。
だからなおさら、自動車での移動が便利となり、電車利用者は減る一方。
このような地域で苦労してきたお年より達は、
苦労しっぱなしで、やっと便利になったと思ったのも束の間、
また不便を強いられるのだ。
世の中の不条理を痛感しながら、約三時間のふるさと銀河線の旅は終わった。
北見駅構内の端っこのホームが銀河線ホーム。
私は幸い足腰が丈夫なので、サッサと階段を上って改札口に向い、
そこから銀河線の電車を写真に撮ろうと振り向くと、
お年寄り達がヤッコラヤッコラと階段を昇り始めたところだった。
足腰が弱った人たちにとっては、この階段昇降も大変なことだろう。
電車を利用したくても、この階段が壁になっている人も多いのかもしれない。
北見市は、この地方の中心都市。
駅前の東急デパートのレストランフロアーで、昼食にお蕎麦を食べる。
この場所にいると、札幌にいるのとちっとも変わらない。
二時過ぎの各駅停車で、網走に向う。
この列車も一両のワンマンカー。乗客は10人足らずである。
使われている車輌は、昔ながらに窓が開閉できるもの。
私の住んでいる道央では、今ではこのような電車は使われていないと思う。
何となくノスタルジックな気分を味わいながら、
約一時間半で網走到着。
網走駅に着いてすぐに、駅に隣接する「観光案内所」で安いビジネスホテルを予約。
駅からすぐの場所なので、そこに荷物を預けてから、
路線バスを利用して天都山にある「オホーツク流氷館」に向う。
もう夕方に近いので、このバスに乗ったのは三人だけ。
本当は、本物の流氷を一度見に来たいと思っているのだが、
冬になってしまうと、もっと寒い場所に向うのがとても億劫になってしまうのだ。
だから、せめて流氷館に行って流氷に触れてみたいと思ったわけだ。
館内の「しばれ体験」も、一緒に入った観光客達はキャーキャー言っていたが、
本物のしばれを知っている私にはさほど珍しくもない。
というより、つまらない。 (ゴメンナサイ)
それよりも、展望台から見た夕陽が美しかった。
天気が良すぎるせいか霞んではいたけれど、知床連山も遠望できた。
風もなかったし、想像していたよりとても暖かくて、
「本当にここは網走か?」と不思議な気分だった。
帰りのバスに乗り込んだのは私一人。
つまり、そのバスは私ただ一人だけのために動いている。
これも、私の住む町では考えられない贅沢である。
ビジネスホテルで一休みしてから、
ガイドブックに乗っていたホテル近くの回転寿司「かに源」に行く。
実は、どこで夕食を取ろうかと迷ったのだが、
回転寿司なら気軽に海の幸を味わえるだろうと思ったのだ。
ガイドブックに載っているお店には時々ガッカリさせられるが、
ここは期待通りであった。
回転寿司であるから、当然グルグルとお寿司が回っているのだが、
「ご注文いただいたら握りますよ」とのお言葉に甘えて、
ここのお薦めの「蟹ミソの軍艦巻き」や「蟹のフンドシ」などを注文。
旬のサンマも美味しかった!!
回転寿司は2カンずつお皿に載ってくるので、
一人で食べる時には、私にはそれがネック。
それで、「色々食べたいので、同じ値段同士で違うネタを注文したいのだけど」と、
おそるおそるお願いしてみた。
「同じ値段のものならいいですよ」というお言葉に甘えて、
おなか一杯なのだけど、好物のものをいくつか注文。
その頃には客は私一人になっていて、
ここでも貸切状態という贅沢三昧である。
グルグル回り続けていたお寿司たちは、あのあとどうなったのか気になる。
多分あの調子では、その後来たお客にも注文によって握るのだろうし・・。
大満足の網走の回転寿司で、旅の一日目を終了した。
(こんな調子で書いていて、旅の最後まで書けるかどうか心配になってきた・・)