2024/07/22(月)09:02
読書備忘録「ヒロイン」桜木紫乃 「八月の御所グラウンド」万城目学
「ヒロイン」 桜木 紫乃/著 毎日出版
世間を震撼させた白昼のテロ事件から17年。
名を変え他人になりすまし、
"無実"の彼女はなぜ逃げ続けたのか?
1995年3月某日。渋谷駅で毒ガス散布事件が発生。実行犯として指名手配されたのは宗教団体「光の心教団」の幹部男性と、何も知らずに同行させられた23歳の信者岡本啓美(おかもとひろみ)。
この日から、無実の啓美の長い逃亡劇が始まった。他人を演じ続けて17年、流れついた地で彼女が見つけた本当の"罪"とはいったい何だったのか――。
目次
第一章 半醒
第二章 母と娘
第三章 鬼神町
第四章 カラスウリ
第五章 悔恨の記
第六章 産声
最終章 罪の名前
随分前にこの作品のことを知り、図書館に予約していたのだが、かなり時間が経っていて忘れた頃にやってきた。
まだ予約待ちの人がいるのでサッサと読んだけれど、サッサと読めた。
地下鉄サリン事件と、その後何年も逃亡生活をしていた元信者のニュースがきっかけだったようだが、ほぼフィクションだろう。
どんな事件にも、関わった人たちにはそれぞれのプロセスと人生がある。
あの事件で逃亡を続けた人にもそれぞれの理由があったのだろうから、こんな物語もあるだろうし、小説でしか表現できないこともあるだろうなと思う。
「逃げる」行為は、動機やそのやり方は多種多様だと思うが、誰しも人生で何度か逃げることはしているだろう。
「私は逃げたことはない」と言う人は、「私は嘘をついたことはない」と言う人同様あまり信頼できないのだが、それでも次々と逃げ続ける人生には私は共感はしにくい。
だから、このような小説で登場人物の色々な場面で理解することは、私にとっては必要だ。
いつも受け身で流されやすく、それなのにプライドだけは高くて、いつも逃げるきっかけとなった人を責める気持ちがある人は、結構いる。
私はそのようなタイプの人には苛立ちや腹立たしさをどうしても感じてしまうのだが、そのようになるに至った理由は、ある程度つきあっていたら理解はできる。
それでも、やはり逃げずにちゃんと向き合おうよと言いたくなってしまう。
物語とは関係のないあれこれを思いながらも、人生には正解はないんだよなと思う。
この小説には、カルト、外国人実習生、戸籍問題、親子の関係、愛憎関係などなど、色々な現代的な問題の種がちりばめられていて、あらためて現代は複雑怪奇だと思う。
多分、直木賞作家・桜木紫乃さんの新たなる最高傑作 『ヒロイン』を見て予約したのではないかと思うが、私は最高傑作とまでは感じなかったけど…。
感想も人それぞれです。
「八月の御所グラウンド」 万城目学/著
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これは文句なく面白かった。
万城目 さんの本はあまりよんでいなかった。
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