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テーマ:読書(9187)
カテゴリ:読書
朝井まかてさんの「落陽」が面白かったので、図書館で借りた本。
枕になりそうな分厚い本だったが、とても興味深く読むことができた。 「類」朝井 まかて ![]() 《内容紹介》 【第34回柴田錬三郎賞&第71回芸術選奨文部科学大臣賞受賞!!】 『舞姫』『山椒大夫』『阿部一族』……今なお読み継がれる名作の数々を生み出した明治の文豪・森鷗外。その末子として明治44年に誕生した類(るい)が今作の主人公です。 少年時代は、優しい父と美しい母志げ、姉の茉莉、杏奴とともに千駄木の大きな屋敷で何不自由なく暮らしていましたが、大正11年に父が亡くなり、生活は一変。 大きな喪失を抱えながら、自らの道を模索する類は、姉の杏奴とともに画業を志しパリへ遊学します。帰国後に母を看取り、やがて、画家・安宅安五郎の娘と結婚。明るい未来が開けるはずが、戦争によって財産が失われ困窮していくことに――。 昭和26年、心機一転を図り東京・千駄木で書店を開業した類は、多忙な日々のなか、身を削り挑んだ文筆の道で才能を認められていきますが……。 明治、大正、昭和、平成。時代の荒波に大きく揺さぶられながら、自らの生と格闘し続けた生涯が鮮やかによみがえる圧巻の長編小説です。 内容紹介に書かれている通り、明治の文豪森鴎外の末っ子の物語。 森茉莉や森杏奴については何となく知っていたように思うが、長兄の森於菟や森類についてはこの本を読むまで知らなかった。 偉大な父を持つ子はそれだけで重荷を背負って生まれてくるような気がしているが、 この類さんは先に有名になる姉たちの下に生まれたので、さらに大変だった。 それでも人は、宿命を受け入れて生きてゆかねばならないし、 親から譲り受けた才能を生かしながらでしか人生を歩めない。 それでも、彼は幼少時に父親にも母親にも、そして姉たちにも可愛がられ甘やかされて育った。 大人になってからその「ボンボン気質」で苦労もしただろうが、 愛されて育ったならではの優しさや素直な気質は、彼のしなやかな武器になっている。 このような人と結婚し、生活の苦労を引き受けた妻には同情してしまうが、 その彼女もまた、恵まれた育ちの人だ。 二人とも正確に歪んだ部分がないことが嬉しいし、やはり人間は愛されて育つことが大切なのだと思う。 また、子ども時代の幸せが大人になってからの幸せにつながることではないということも…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025年03月27日 09時09分36秒
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