安息の時は、まだ続く - 乗れニャ椅子 -
まことにけしからんものが、世間をにぎわしている。人間どもは、それを「乗れニャ椅子」と呼ぶ。なんでも、我ら猫族が乗れないようにする椅子らしい。その武器は「倒れる背もたれ」にあると言う。人間どもが椅子を使わない時、背もたれを倒して、我々が乗れないようにしてしまう。使わない時なのに、我々に椅子を使わせない。なんと人間どもは、了見が狭いことか。どれ、椅子を見てみよう。背もたれを倒すと、たしかに乗りにくい。倒れ方が中途半端で、アームレストも邪魔である。しかも、倒した背もたれの表面は、凸凹になっている。実に居心地が悪そうだ。なぜそこまでして、我々の安息の時を奪うのか。まったく、けしからんことだ。だが、我々は知っている。人間どもが椅子を使う時、直接、膝の上をねらえばよいのだ。膝に乗った我々を、人間どもは追い払えない。人間どもは、実にあまちゃんなのだ。だから我々の安息の時は、これからも奪われはしない。現に今日もこうして、くつろいでいるではないか。