養父
両親が離婚し父親が赤ん坊の俺を預かっていたらしいけど、蒸発。本当の父親や母親は今どうしているのか解らない。親戚や従兄弟が居るかどうかも解らなくて気付けば施設で育っていた。小学校時代の授業参観日とか俺以外のクラスメイトの両親は皆来てるんだよ。授業が終わった日は、皆が親と一緒に帰る中、一人泣きながら施設まで帰ったのが今でも忘れられない。でも、小学4年の時に俺を養子にもらってくれた人がいた。飲み屋を男一人で経営していた人だった。奥さんがいたそうだけれど、昔に病気で亡くなったらしい。子どももいなかったらしくて、俺を養子として迎えいれてくれた。いつも笑っていた人だった。友達が多い人だったから、お店にはいつも常連さんや色々なお客さんが来ていて、二人しか住んでいなかったけれど、とても賑やかだった。最初は当然父親とは、思えないし呼べなくて黙ってぎこちない日が多かったけれど、休みの日は遊園地や海や山に連れて行ってくれた。『今まで辛かったか?もう此からは楽しいからな!』この言葉を車の中で聞いた時、涙が止まらなくてずっと泣いてたよ。こういう風に遊びに行く事が滅多になかったから本当に嬉しくて楽しかった。遠足の日は弁当を作ってくれたり、授業参観日や運動会にも店が忙しいのに来てくれた。手を繋いで帰ったりもした。俺が高校に合格した時は、誰よりも喜んで顔がクシャクシャになるまで泣いてくれた。高校で店の手伝いをして料理の作り方や接客のルールを教えてもらった。大学受験の時にも夜食を作ってくれて『無理はするなよ!』といつも体を気遣ってくれた。貴方が亡くなって、もう5年なんですね。最初は信じれなくて毎日お墓に行った事をよく思い出します。健次さん達は相変わらずですよ、父さんとまた酒を飲みたいと言ってました。本当にありがとう。貴方のお陰で俺は今此処で生きてます。貴方を本当に尊敬しています。父さん、本当にありがとう。すまん、何か書いてしまった。涙が止まらないヤバイ。長文ごめんね