うれしき、たのしき、ありがたき
みなさん、こんにちは。来月はバレンタインデーですね。ということで、新作の生チョコです。生チョコと言っても、乳製品は使わないので生チョコ風というのが正確ですが。でも口どけはふわーっと、とろけます。甘みは、玄米甘酒だけを使い、オールオーガニックで、レシチンさえ使わない、48度以下調理のRAW生チョコレート。玄米甘酒の生チョコってどんな味かと思うでしょ?これが意外や意外、とても甘酒とは思えない、深い優しい甘みなんですよね。甘酒でチョコを作るのがほんと難しかったんですが、やっと完成いたしました。発売は2月の2日かそのあたりです。チョコレートでレシチンを使わないで作っているというと、業界の方には驚かれるのですが、うまいことすれば出来ないことはないんです。しかし考えてみたら変わり者ですよね。コスメは合界使わないでチョコレートみたいに大豆レシチンで乳化して、本来レシチン使うはずのチョコレートでは、レシチンすら使わないんだから(笑)でもカカオはポリフェノールが多いスーパーフードだから食べたいけど、砂糖は摂りたくないし、原料は極力シンプルでという鬼の願望が形になりました。さて甘酒と言えば今週、社員研修で千葉県の造り酒屋「寺田本家」さんに行ってきました。お米で出来たマイグルトや、玄米のお酒「むすひ」など、無農薬のとても変わったお酒を作っている酒蔵です。当主の寺田さんの「発酵道」という名著を読んで感動し、4年前にも一度ここを見学させていただき、私はとても影響を受けました。その時のことは当時ブログに書きましたので、まだの方はよかったら読んで下さい。発酵場体験Something great!今回は、寺田本家の発酵道をうちの会社のスタッフに学んでもらいたくて、会社を臨時休業して全員で訪れたのです。いつも私の心の中には、この蔵の光景がありました。だから2度目なんだけど、まるで故郷に帰ってきたみたいな気持ち。↑今回は、当主の寺田さんに加えて、お婿さんの優さんが主に蔵の案内をして下さいました。4年前と変わらないのは、寺田さんの静かなたたずまいと、優しいお人柄。そして蔵の歴史ある風情や、酒を仕込みながら歌うと言う昔ながらの風習。時計がなかった時代、歌うことで時間を測っていたということと、寒くて冷たい仕事を、出来るだけ楽しくするための工夫だったと言います。効率化するためにあった機械がどんどん減り、お米すら素手で洗う蔵人のみなさん。代わりに復活したのが「仕込み歌」。「お酒は微生物が作るもの。微生物は生き物だから、人の気持ちにも影響を受ける。不平不満、愚痴を言いながら作ったら、まずいお酒が出来、楽しい嬉しい気持ちで作ったら、おいしくって人を元気にするお酒が出来る。だから僕たちは、今日も楽しく歌うんです。」民謡をやっている、副杜氏のなかじさんは歌い終わったあと、そう話して下さいました。なかじさんは寺田本家の酒かすを使ったレシピ本を出して、大人気で重版になっているんだとか。変わらない寺田本家ですが、以前とは違うところもありました。まずマイグルトの作業場が!↓いつも飲んでいるお米のヨーグルトのマイグルトがビンに詰められている光景を見るのは感動!マイグルトをはじめ、寺田本家のお酒、そして使用しているお米、水が放射性物質の検査に出されていますが、すべて不検出の結果(ページ真ん中あたりを見て下さい)が出ています。麹米を作る麹室に私服の私たちを通して下さるのは以前と変わりません。でも、進化しているところがありました。それは麹です。以前は蔵の壁に住んでいる麹を増やして使用していたのですが、今はお婿さんの寺田優さんをはじめとする蔵人たちでやっている田んぼの、稲についている稲麹を使って麹米を作るそうなんです。↑この黒いのが麹です。このほうが、おいしいお酒が出来ると言うことで、現在はすべてこれになっているそうです。もちろん麹室の壁には、麹菌がたくさん住んでいますから、彼らも参加してるのでしょうけどね。この稲麹、お米作りで言えば「稲の病気」の一種と見なされるそうです。慣行農法ではこれを防ぐために、農薬を使ったりするのでしょうね。でも、稲麹が出来たからって、全部のお米がダメになるわけじゃない。私も自分の田んぼで、1つか2つはこういう黒いのを見たような気もします。優さんたちの田んぼで出来たお米は、立派にお酒の原料になり、しかも麹まで作ってくれているんだから最高ですよね。ちなみに普通の酒蔵では、麹菌はよそから買ってきます。↑酒母室では、麹室で出来た麹米を樽に入れて、天然の乳酸菌がやってきて発酵していくまで、何日もかかって待っています。そしてまた、天然の酵母菌がやってきてお酒になっていくのを、ひたすら待ちます。ちなみに一般に行われている速醸造りは、人工的に培養した乳酸や酵母を添加して短期間に発酵させているわけなので、こうした昔ながらの作り方とは全然違います。純粋培養された乳酸菌や酵母菌は少しの腐敗菌にも弱く、蔵を薬品で消毒しなければならないほどで、麹室や酒母室に見学客を入れるなんてもってのほかですが、寺田本家さんでは、このような驚くべき光景が、、、酒母に指を入れて、なめても大丈夫なんです。もちろん、何日目以上か、日数が経過したものに限るんだと思うんですけど。4年前に来た時より、更なる発酵場が完成されているんだと思いました。「発酵場が出来ていれば、どんな雑菌がきたって負けません。自然界にいるたくましい天然菌が参加してお酒にしてくれているのだから、蔵見学に来てくれているさまざまな方が、外から雑菌を持ち込んでくれることで、更に味わい深い、いい酒になります。」「火落ち菌という、酒蔵が震え上がる菌があります。これが発生したら酒は不味くなり、蔵は終わりだからと、殺菌除菌にあけくれる。でも、うちのお酒には、実は火落ち菌も検出されたことがあります。だけど発酵場が出来ていれば、火落ち菌が増殖することもない。むしろ火落ち菌がちょっといるくらいの酒が、百薬の長になるんだと思いますよ。」自信に満ちた顔で、優さんは笑っていました。寺田さんなんかは、Oー157のジュースを飲んだって、腸に発酵場が出来ていれば、決して巻き込まれることはないとまでおっしゃっていました。ここまで言い切れるところが、確実に進化していると思いました。蔵見学のあとは、当主の寺田啓佐さんが1時間くらい発酵道のお話をして下さいました。うれしき、たのしき、ありがたき、3つの「き」で「おみき」。それこそが発酵道。発酵していると腐らない、腐らないのは変わるからそして変わる時には、楽しく変わろう。そんなお話をして下さいました。変わらないもの、そして変わっていくもの。確かに寺田本家は、いい意味で4年前とは変わっている。変わっていくから、発酵し続けることが出来るんですね。寺田さんは、EM菌と光合成細菌に、玄米酒むすひを混ぜて発酵させ、それを福島の農地にトラックで蒔きに行くというボランティア活動を、ずっと続けていらっしゃいます。蒔きに行くたびに、線量がどんどん下がっていくそうです。お酒の菌を混ぜるのは、お酒の菌は寒い時に働く菌だから。EMや光合性細菌が増殖するには、ある一定の高温が必要ですが、確かに清酒で働く菌は、冬場の寒い時に活躍する菌です。なるほどー!と感心してしまいました。↓こういう研究は昔からあるようです。放射性物質 微生物で回収太古の地球は、それこそ放射線だらけだった。だけど、それを分解する微生物たちがいた。放射線や紫外線をエネルギー源とする光合成細菌たちがいたからこそ、真正細菌や藍藻が生まれ、現在のような酸素が豊富で動植物が住める地球環境になったと言われています。私たちが自分たちの都合で作り出してしまった人工放射性物質を分解して頂くのは、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。もう二度と、こんなお世話を微生物たちにかけさせないようにしないといけませんね。だけど今は、少しその力を借りさせて下さい。体の中からも生みそ、糠漬け、塩麹漬け、甘酒、酒かす、キムチ、マイグルト、むすひなど、アメージンググレースたちの力を。。。。うれしき、たのしき、ありがたき3つの「き」の魔法で、今日も発酵したい!!