パート3★抗菌剤と免疫の世界
みなさま、こんにちは。早いもので、節分も終わりましたね。毎年、豆まきは欠かしたことがありません。でも、鬼役はやりませんよ!(^。^)鬼の面は家のドアの内側に貼り付けて、少しだけドアを開けて、そこに向けて小袋に入った豆を、小袋ごと投げました。これだと、豆が汚れずにすみます。儀式終了。あとで豆をポリポリ。今年も元気ですごせますように。さてさて、お知らせから。今発売している雑誌「婦人画報」の月の美容の特集に登場しました。すごく写真がきれいで、うっとりする特集です。あと、吉川ひなのさんのインスタグラムに、愛用品としてうちのサンスクリーンが出てて、とても感激しました。ふだん使いはこれ!と書いて下さっています。さらにさらにひなのさんの愛用品として、雑誌にうちの黒酢が登場していました。渋いというか、いやー、わかってらっしゃる!(*^_^*)うれしくなってしまいました。あとは、眞鍋かをりさんのブログにも、うちのローチョコレートが紹介されていて。これまたびっくりです。こういうオーガニックの、なおかつ私が作る相当ニッチな製品も、感度の高い方に愛用者が増えてきていると感じます。すごくうれしいです!今も、コンシーラーをはじめ、メイク系もいろいろ開発しています。基礎化粧品系もいろいろ試作していますし、ヘアケアもやってます。フード系もまだまだいろいろ増えます。これからも、いろいろなものをパワフルに生み出していこうと思っています。さて、抗菌剤と免疫の世界の続きです。前回は、抗菌剤のナノ銀の環境や生物への影響や、強い洗顔料での洗いすぎによる、皮膚に住む1兆個もの常在菌への影響についてお話ししました。洗顔のし過ぎも問題ですが、抗菌グッズの繊維を着用すると、やはり皮膚常在菌が弱り、顆粒球と言う白血球を増やし弱った菌の排除に取りかかると言います。顆粒球のよくないところは、大量の活性酸素を出すところ。これによりやはり皮膚を守る菌はいなくなり、かゆみや炎症が起きやすくなるようです。さて、皮膚もそうですがもっと細菌だらけの場所があります。それは腸の中です。最近の研究では、なんと腸内に600兆個~1000兆個も菌がいるそうです。重さは約1.5kgだそうですから、体の中の細菌はほとんどが腸にいることが分かります。腸内に生きる細菌は1000種類以上だそうですが、解明されているのは300種程度。バクテロイデス、ユウバクテリウム、連鎖球菌、ビフィズス菌、大腸菌、乳酸桿菌、腸球菌、ウェルシュ菌などです。600兆個~1000兆個もいる腸内細菌ですが、胎児の時からいたかというと、実はそうじゃありません。お母さんのお腹にいる時には、腸内細菌も皮膚の常在菌もゼロです。無菌状態だった赤ちゃんは、まずは生まれる時にお母さんの産道付近の細菌が口の中に入ります。それが腸内で増殖するようです。生まれたあとも、病院のベット、お母さんや助産師さん、看護師さんの手、空気などからいろいろな菌が赤ちゃんの腸内に入ります。この腸内細菌が、もしゼロのままだと、どうなると思いますか?体内の細菌をあえてゼロにして育ったマウスは、ケガをすると傷がなかなか治りません。これは血液を固める時に必要なコラーゲンが作られるときに必要なビタミンKを、腸内細菌が生み出しているからだそうです。また、無菌マウスは、「免疫グロブリンA」というウイルスや細菌感染の予防に役立つ抗体が、ものすごく少ないそうです。これは、免疫力がとても低いことを表しているそうです。要は抵抗力がないのです。最近の研究では、免疫グロブリンAを作るのを促進する腸内細菌や、病原菌を撃退する細胞の活性化をする乳酸菌など、免疫におおいに関わる腸内細菌がいることが分かってきているそうです。免疫には自然免疫である、マクロファージや顆粒球、好中球やNK細胞のような、侵入してきた外敵を食べたり、活性酸素爆弾を投げつけたりして戦ってくれるパトロール免疫軍団と、キラーT細胞やB細胞、ヘルパーT細胞のような、敵をきちんと見極め、的確な武器(抗体)を作ってスマートに戦う頭脳派の免疫軍団があります。両方ともとても大切ですが、この後者の方の頭脳派の免疫軍団の能力は、子供の頃にどれだけの細菌やウイルスと接しているかで決まります。免疫とはざっくり言うと「味方」と「敵」を見極めて敵をやっつけるという機能です。たくさんの敵と接することで、その敵に最適な攻撃方法を身に着け、効果的な武器の造り方を学ぶことが出来るのです。これを学ぶのは、胸腺です。胸腺は心臓の上くらいにある臓器で、いわば頭脳派免疫軍団T細胞の学校です。ここで、味方を学び、敵を学び、さまざまな攻撃方法や武器製造を学び、厳しい訓練をかいくぐってきたT細胞しか卒業できません。そう、外敵をやっける以外に、味方を攻撃しないことをきちんと学ぶと言うことも免疫にとって、とても大事なことです。これを学べないと、アレルギーになりやすくなります。これを間違ってしまうと、T細胞は落第させられてしまいます。しかし、いろいろなパターンのテストケースが多くないと、敵と味方を見極める能力もなかなか研ぎ澄まされていきません。ところが、ショックなことにこの胸腺は20歳を境に、だんだん萎縮してしまうのです。そう、免疫学校が開催されているのは主に子供の頃から20歳まで。この時期に、どれだけたくさんの外敵と接しているかで、その後の免疫におけるT細胞の能力に差が出てしまうのです!なぜ日本人にこれほどアレルギーが増えているか、なぜ食中毒がこんなに増えているか、なんとなく見えてきますよね。赤ちゃんがなぜ、なんでもペロペロなめるのかも。なぜ家畜と触れ合うモンゴルの遊牧民にほとんどアレルギーが見られないかも。ところが赤ちゃんグッズは抗菌化され、授乳前に自分の乳首まで除菌シートで拭うママまでいます。免疫を鍛えるためには、泥んこ遊びは子供にとって最高なのですが、最近は砂遊びを避けるご家庭も多く、抗菌砂の公園まであります。もちろん、不潔にしろというわけではありませんが、この抗菌グッズや除菌製品のヒットを見ていると、日本人はやっぱり、やりすぎに見えます。もう20歳をとっくにすぎてしまった私たちも、がっかりすることはありません。T細胞の細やかな能力を鍛えることは出来ませんが、いろいろな方法で免疫力を底上げすることは出来ます。一番は、やはり腸管免疫を鍛えることです。体の免疫細胞の実に70%が腸に集中していることが分かっています。腸には外界からさまざまな食べものが入ってくるため、内なる外とも言えます。いろいろな外敵にさらされるリスクがあるからこそ、多くの白血球たちはここで待ち構えて警備してくれているのです。有害物質が入ってくると、免疫細胞たちの働きで「IgA抗体」を作りだして攻撃してくれます。この時腸内に乳酸菌などの善玉菌が多いと、IgA抗体の生産性が上がることが分かっています。もうすぐ花粉の季節もやってきますが、白血球のT細胞の中の「Th2細胞」のほうが優勢になると花粉症やアトピーなどの症状を引き起こす「IgE抗体」を多く作り出しています。ところが、腸内の善玉菌が優勢だとT細胞中の「Th1細胞」が優勢になります。「Th1細胞」は「Th2細胞」の働きを抑える役割があるので、アレルギー症状が出にくいのです。この冬もたいへん流行したノロウイルス、そしてOー157のような悪玉大腸菌なども、同じ条件下でも発症しない人、ひどくなる人、症状があまり出ない人と個人差があります。ここでも、腸内細菌のバランスが関係しているようです。ビフィズス菌や乳酸菌などが作り出す酢酸や乳酸で腸が酸性になっていると、細菌やウイルスの活動が抑えられ、腸内での増殖をある程度防げると言います。北海道大の研究でも、腸の表面に貼りついてノロウイルの付着を防いだり、ウイルスにくっついて腸の細胞に入りこむのを防ぐ乳酸菌を見つけたようです。さて、腸管免疫の鍛え方、そして善玉菌が作り出す美肌に嬉しい栄養素については、また次回!