連接車のNゲージあれこれ
連接車という特殊な形態は,模型としても非常に魅力的な題材です。今回は,わが国のNゲージにおける,主な連接車製品を振り返ってみたいと思います(なお,本稿では,連接台車を用いていないライトレール車両等も含め「連接車」と表記しています)。(Nゲージモデル・アーカイブスよりトミックスの小田急LSE車)<小田急ロマンスカー>トミーナインスケール時代に発売されたUACターボトレインを除くと,わが国初の連接車のNゲージ製品は,1981年にトミックスから発売された小田急ロマンスカーLSE7000形になります。既にトミックスの技法が確立された時代であり,十分現代に通用する水準の製品となっています。その後,トミックスでは,1988年にHiSE10000形,2005年にLSE7000形新塗装とVSE50000形を製品化しているほか,2006年にはLSE7000形のリニューアル製品も登場しています。(新・鉄道模型考古学Nより,トミックスの小田急LSE車の連接部)一方,カトーでは,1988年にHiSE10000形を製品化しています。カトーでは,既に1983年にTGVで連接車を製品化した実績がありました(近年では,DB ET425形近郊電車などもありますね)。(「N」2017年4月号よりカトーの小田急HiSE車)HiSEは室内灯標準装備,関水金属30周年記念として3次元CAD・CAMによるテストカットモデルが2000名にプレゼントされるなど,好景気の時代らしい意欲作となっていました。ところが,HiSEでは肝心の連接部に強度上の問題があったようで,今日中古市場に流通している製品では連接部が破損しているモデルが少なくないようです。その後,カトーでは,レジェンドコレクション第7弾として2014年にNSE3100形を製品化。こちらはもちろん何の問題もなく,2026年には「ゆめ70」の製品化も予告されています。LSE,HiSE以前のロマンスカーとしては,SE(クラフト・エスのレジン製品),SSE(ワールド工芸の金属製品),NSE(マスターピースのレジン製品)などの製品がありましたが,その後,SE・SSEはマイクロエース(2006年)から,NSEはマイクロエース(2005年。「ゆめ70」も製品化)と前述のカトーからプラ製完成品が発売されています。(成美堂ムック「鉄道模型Nゲージ」よりクラフト・エスの小田急SE車)<近鉄ビスタカー>近鉄特急のNゲージとしては,30000系ビスタカー3世や,21000系アーバンライナーといった車種の製品化が先行し,連接車である10100系ビスタ2世や,10000系初代ビスタカーは,八雲工芸やタケモリモデルの金属製品などに限られていました。(成美堂ムック「鉄道模型Nゲージ」よりタケモリモデルの近鉄10100系)その後,10100系はカトーからレジェンドコレクション第3弾として2007年に発売。10000系は同じく2007年にマイクロエースから新塗装・旧塗装の両方が製品化されています。<路面電車系>わが国では,路面電車や江ノ電で連接車が広く見られます。Nゲージでは,1987年にグリーンマックスの江ノ電1000形キットが発売されましたが,連接動力をあきらめ,トミックスのベルニナ動力を採用するという割り切りがなされていました。その後,1990年代に至るまで,路面電車自体の製品化が限られていましたが,2000年代になると,マスターピースが江ノ電300形・500形,玉電200形,札幌市電A830形,東武日光軌道線200形といった連接車を積極的に製品化しました。玉電や札幌,日光は曲線を多用した車体がホワイトメタルで表現されているのが特徴的です(マスターピースでは,前述のとおりレジン製の小田急NSEも製品化しています)。また,ウイストジャパンからも,2001年に玉電200形が完成品として発売され,小径車輪や,最大の特徴の1軸台車を精巧に再現した形状が印象的でした。(RM MODELS 2001年7月号より,マスターピースの玉電200形)(Nゲージ・ニューモデルス2002 Summerより,ウイストジャパンの玉電200形)(Nゲージ・ニューモデルス2002 Summerより,マスターピースの札幌市電A830形)プラ製完成品としては,モデモから,2002年に東急300系が発売されたことを皮切りに,江ノ電各種,広島電鉄グリーンムーバー,京阪びわこ号といった連接車が製品化されました。2010年には,路面電車シリーズの100作目として,玉電200形が製品化されています。また,欧州の鉄道模型の輸入に意欲的なトラムウェイからも,広島電鉄グリーンムーバーや長崎電軌3000形タイプが製品化されました。これらはオーストリアの路面電車モデルの技法を生かした製品となっています。そして,トミーテックの鉄道コレクションでは,2009年の富山ライトレール発売を皮切りに,各地のブレーメン形連接車や,アルナ車両のリトルダンサーシリーズ,福井鉄道200形・770形,西鉄福岡市内線の譲渡車(広島電鉄,筑豊電気鉄道,熊本市電)といった連接車が製品化されています。カトーからも,2009年に富山ライトレールが製品化されたほか,富山地鉄市内線,万葉線,広島電鉄の連接車が製品化されています。<その他>連接車には,国鉄の振子電車・591形やガスタービン動車・キハ391系,JR東日本のSTAR21やACトレイン,短命に終わったE331系といった魅力的な題材がまだまだありますね。北勢線200形は現役ですが,ナローということでむしろ猫屋線に期待したいところです。古典的な形態では,名鉄モ400形や福井鉄道モハ160形は実車が保存されており,ノス鉄向きの題材と思えますが,どうでしょうか。西鉄500形や福島交通デハ5000形はさすがにプラ製品は厳しいでしょうか。また,モデモの新製品が止まってしまった現状では,江ノ電700形や各地のリトルダンサーシリーズの充実などは鉄コレに期待したいところです。<参考文献>鉄道ピクトリアル2007年5月号・9月号