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カテゴリ:真田プラスチック工業所
このブログで紹介してきた「のりものキップあそび」,「トレーンセット」,高橋商店の関西私鉄特急シリーズについて整理したいと思います。 このシリーズは,いずれも9ミリ軌間となっており,Nゲージを強く意識した製品となっています。 「のりものキップあそび」の名称で販売されていた商品としては,0系新幹線,ボンネット特急,電気釜スタイルの特急,103系もどき,100系新幹線が確認できます。この他に,商品名は不明ですが,レイルマガジン2003年6月号で紹介されているSLとダブルルーフ客車も,同じ製造元(真田プラスチック工業所)の製品です。 (なお,鉄道おもちゃ1号(2004年7月)では,同誌編集部が関西で「トレーンセット」2種,近鉄ビスタカー,高橋商店の特急3種(京阪,ラピート,アーバンライナー)を入手する様子が紹介され,9号(2005年2月)でそれらの製品が読者プレゼントとなっていました。) 「のりものキップあそび」をはじめ,古い製品の多くに共通する特徴は, ・パンタグラフが菱形で,軟らかい線状のパーツが用いられている ・台車枠が床板と一体成型で,曲線を曲がれない ・床板と一体成型のフック=リング状の連結器が用いられている ことがあげられます。 ただし,電気釜スタイルの特急は,途中から ・パンタグラフが下枠交差型で,硬いプラパーツが用いられている ・台車が床板と別パーツで,首を振るようになっている ・アーノルトカプラーを模した連結器が用いられている という特徴を備えるようになっており,高橋商店の関西私鉄特急シリーズと共通点が多くなっています。 また,電気釜スタイルの特急は,古い仕様では赤帯が暗い色であったのに対し,新しい仕様では,非常に明るい色となっています。 (0系新幹線。東北新幹線カラーもあった) (ボンネット特急。中間車もあったが,パンタグラフは先頭車,中間車とも付いていない) (電気釜スタイルの特急。写真のモデルは台車が別パーツとなった後年の仕様。赤帯は非常に明るい色となっている) (103系もどき。スカイブルーやウグイス色など各種カラーがあった) (レイルマガジン2003年6月号より。1/130のD51とダブルルーフ客車) (追記) 0系新幹線やボンネット特急,103系は「レジャーパック」の名称でも販売されていました。 また,0系新幹線や電気釜スタイルの特急は,「銀河特急」の名称でも販売されていました。 「銀河特急」には,さらに,電気釜スタイルの特急の姉妹製品?として,583系がありました。 ・パンタグラフが菱形で,軟らかい線状のパーツが用いられている ・台車枠が床板と一体成型で,曲線を曲がれない ・床板と一体成型のフック=リング状の連結器が用いられている という,旧時代の仕様となっています。 中間車は赤帯の電気釜スタイルの特急(485系もどき?)と同一車体ですが,先頭車の運転室の高さは中間車の屋根と同一となっています。というよりも,485系もどきの運転室が,583系の高い屋根をはるかに超える高さとなっていると言った方がよいでしょうか。 (485系もどき?の特急と,583系) なお,485系もどきや583系には,貫通扉の窓の下に,機能上意味のない穴があり,学研の583系(1976年(昭和51年)発売)を参考にしたのではないかと私は推測していますが,果たして…? (電気釜スタイルの特急の妻面に存在する,機能上意味のない穴) 「トレーンセット」の名称で販売されていた商品としては, 100系新幹線,電気釜スタイルの特急,103系もどきを確認しています。 (「トレーンセット」のパッケージの一例) (「トレーンセット」のパッケージには,扇に「S.P」と書いたマークが表示されている。「S.P」とは「真田プラスチック工業所」の頭文字) (100系新幹線。パンタグラフは電気釜スタイルの特急より小ぶりのパーツが用いられている) 次に,高橋商店(タカハシ)の関西私鉄特急シリーズを見てみましょう。このシリーズは,「ビスタカーセット」と「阪急電車」以外は窓ガラスが入っており「のりものキップあそび」「トレーンセット」より高級感(?)があります。 「ビスタカーセット」の名称で販売されていたのは,近鉄30000系の4両セットです。 「日本子供鉄道」のキップや笛,鋏がセットされ,その分,他の箱より横長となっています。 実車の登場が1978年(昭和53年)ですので,発売時期はそれ以降と考えられます。 パンタグラフは下枠交差型の硬いプラパーツ,台車は床板と別パーツで首を振るようになっており,アーノルトカプラーを模した連結器が用いられています(追記:ビスタカーにも,パンタグラフが菱形で軟らかい線状のパーツが用いられており,台車枠は床板と一体成型で曲線を曲がれない仕様の製品があったようです)。 (「ジョイライフ 玩具商報」1983年3月号より。初期の仕様のビスタカーセット) (ビスタカーセット。製造元は真田プラスチック工業所となっており,パッケージ右上にトレーンセットと同様,扇に「S.P」と書かれた同社のマークが表示されている。) 「近鉄新特急 アーバンライナー」の名称で販売されていたのは,近鉄21000系の4両セットです。 実車の登場が1988年(昭和63年)ですので,発売時期はそれ以降と考えられます。 パンタグラフについては菱形で軟らかい線状のパーツのものと,下枠交差型で硬いプラパーツのものという2種がありますが,床下はいずれも,台車枠が床板と一体成型で,曲線を曲がれない仕様となっており,アーノルトカプラーを模した連結器のみが首を振る構造となっています。 「京阪特急」の名称で販売されていたのは,京阪8000系の4両セットです。 実車の登場が1989年(平成元年)ですので,発売時期はそれ以降と考えられます。 ビスタカーと同様,パンタグラフは下枠交差型の硬いプラパーツ,台車は床板と別パーツで首を振るようになっており,アーノルトカプラーを模した連結器が用いられています。 「南海空港特急ラピート」の名称で販売されていたのは,南海50000系の4両セットです。 実車の登場が1994年(平成6年)ですので,発売時期はそれ以降と考えられます。 ビスタカーと同様,パンタグラフは下枠交差型の硬いプラパーツ,台車は床板と別パーツで首を振るようになっており,アーノルトカプラーを模した連結器が用いられています。 (高橋商店(タカハシ)の関西私鉄特急シリーズ3種) 「阪急電車」の名称で販売されていたのは,6300系の4両セットです。 実車の登場が1975年(昭和50年)ですので,発売時期はそれ以降と考えられます。 電気釜スタイルの特急と同様,当初は,パンタグラフが菱形で軟らかい線状のパーツが用いられており,台車枠は床板と一体成型で曲線を曲がれず,床板と一体成型のフック=リング状の連結器が用いられていましたが,後の製品では,パンタグラフが下枠交差型で硬いプラパーツが用いられ,台車も床板と別パーツで首を振るようになり,アーノルトカプラーを模した連結器が用いられています。 新しい仕様の製品にも2種あり,実車が「H」のシンボルマークから花をイメージした現在の社章(1992年(平成4年)導入)に取り替えられたことから,新旧両マークの製品が存在しています。 (高橋商店(タカハシ)の阪急電車。この他,現社章の製品もある) その他,ニシノから「JR瀬戸大橋線マリンライナー スーパーサルーンゆめじ」の名称で販売されていた,JR211・213系の4両セット(実車は3両編成ですが…)も,これまで取り上げた製品と酷似した特徴を持っています。 実車の登場は近鉄アーバンライナーと同じ1988年(昭和63年)ですので,発売時期はそれ以降と考えられます。 製品の仕様も,パンタグラフは菱形で軟らかい線状のパーツとなっており,床下は台車枠が床板と一体成型で曲線を曲がれない仕様,アーノルトカプラーを模した連結器のみが首を振る構造となっており,高橋商店の近鉄アーバンライナーの初期製品とほぼ同様です。このことからも,この2つはほぼ同時期に製品化されたとみてよさそうです。 ただし,マリンライナーはアーバンライナーと比較すると,車体,台車,床下機器いずれも非常にのっぺりとした表現となっています。 (ニシノのマリンライナー。箱には「MADE IN KOREA」のシールが貼られている) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.10.07 22:58:00
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