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私のNゲージ考古学

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2017.12.24
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カテゴリ:TMS
今回は,Nゲージのカプラーについて振り返ってみたいと思います。

トミーOOOゲージやロコメートは,英国ロンスター製品同様,ベーカーカプラー風のカプラーを備えていました。一方,1965年から発売された関水金属の初期製品は,X2Fカプラーを備えていましたが,結局,アーノルトカプラーに置き換えられていくことになります。

この点について,当時の資料として,鉄道模型趣味1968年1月号の『ミキスト』欄がありますので,抜粋します。
「9mmのカプラーは,現在アメリカでも西ドイツのアーノルト形が主であり,日本製9mmも輸出用にはこれを付けている。とにかく,今の予想ではまず世界中の9mmがアーノルト式になるだろう。このことは9mmが,アメリカではレーシングカーにかわるおもちゃとして流行する可能性が大きいことに関係する。特にオーロラ製品などの大宣伝が,テレビの野球番組の間に入れたCMなどを通じて,夏すぎから開始されている。日本でも今年は今までと違った普及体勢が起るだろう。」

(鉄道模型趣味1968年1月号『ミキスト』より)

また,鉄道模型趣味1968年5月号掲載の池末弘氏と山崎主筆との対談でも,山崎主筆が「9mmは関水製も(注:アーノルト)ラピードタイプのカプラーになるよ。」「まあ,世界共通だから,しかたがないだろう。」「もともと,ラピードの生立ちが玩具的で,そこのカプラーがスタンダードになると,こういう点(注:大きさや解放ランプ)で問題が出てくる。」と述べられています。

アーノルトカプラーへの統一について,加藤祐治・関水金属社長は,後年,次のように回想されています。
「(注:昭和)四十三年二月,ニュールンベルグのトイショーでメーカーが全部集まりますのでそこで連結機の統一を図ろうではないか,ということで私共もアメリカ側も行きました。そこで先発メーカーとしてアーノルトの連結機を採用しようじゃないかということで現地で意見調整しました」(日本模型新聞 鉄道模型版第5号(1978年11月)より。同第2号(1978年7月)にも同旨の記載あり)

余談ですが,X2Fカプラーという呼称については,鉄道模型趣味1967年8月号の『ミキスト』欄で以下のとおり記述されていますので,あわせて紹介いたします。
「(引用者注:NMRA型カプラーという呼称は)いかにもNMRAの標準カプラーのように聞こえてぐあいが悪い。数年前,NMRAでは各雑誌社やメーカーに『現在NMRA型と呼ばれているものは今後ホーン・タイプと呼ばれるべきである。NMRAはこれを標準カプラーと決めたことはない』という意味の手紙を出した。これによって雑誌ではX2Fとかホーン・タイプと書くことが多くなった。しかしメーカーの広告などでは相変らずNMRA型と呼んでいる方が多い。(以下略)」


さて,オーロラ社は,ミニトリックスなどヨーロッパのNゲージを,自社ブランド「POSTAGE STAMP TRAINS」の下,米国で販売していました。鉄道模型趣味1968年5月号の『ミキスト』欄では,「オーロラ社の『ポステージ・スタンプ・ライン』」について,「オモチャ的な感じであるが,このことによってアメリカの鉄道模型業界は飛躍的に売上げがのびようとしている。」と紹介されています。その中で異色の,オーロラ社オリジナルと思われるメキシコ製車両があります。
それが,これです。



このモデルの特徴は,関水製品と同じX2Fカプラーを備えていることで,大田治彦氏の「紀元前N世紀」や「KATO Nゲージ50周年記念誌」には,関水製品とメキシコ製オーロラ社製品を連結させた写真が掲載されています。

さて,このオーロラ社製モデル。機関車は,バックマンやリマからも製品化されたプリムス社のディーゼル機関車がプロトタイプのようです。

(オーロラ(左)とリマ(右)のプリムス社製機関車。オーロラ製品の方がわずかに大きい)


そのリマは,当時,同社のHOゲージと同様のループカプラーを採用していました。ループカプラーを備えたリマ製Nゲージは,今日でもたまに中古市場で見かけます。



(鉄道模型趣味1966年8月号『ミキスト』欄より)


外観の優れたX2Fカプラーを関水が早々に放棄したことは少し残念な気もしますが,やはり,Nゲージのカプラーが早期に統一されたことは,ユーザーにとっては英断であったと言えるのではないでしょうか。この点は,他のゲージも大いに見習ってほしいと思います。





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最終更新日  2018.05.14 19:09:13
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