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カテゴリ:書籍・雑誌
科学教材社から1984年まで発行されていた雑誌「模型とラジオ」には,Nゲージの記事も多く掲載されていました。 また,別冊「Nゲージ」(初版は1972年)には,車両やレイアウトの製作法のほか,各社の製品一覧も掲載されており,わが国のNゲージの歴史を振り返る上で,貴重な資料となっています。 そこで,今回は「模型とラジオ」のNゲージ関連記事をいくつかご紹介したいと思います。 まず,1960年代後半から1970年代前半には,立川富士男氏が,Nゲージ車両の製作記事を執筆されています。 67年7月号では西鉄E101型電車,9月号ではキハ45型気動車,10月号では長野電鉄OSカー,翌68年3月号ではアメリカ型ディーゼル機関車の製作記事が掲載されています。 (「模型とラジオ」1968年3月号より) 立川氏は71年には,5月号でスイス型BBBB電機,6月号でアメリカ型電機,7月号でロッド式電機,8月号でカブース・有蓋車,9月号で無蓋貨物電車の製作記事を,10月号でベルト駆動の解説と11月号で下回りについての解説を執筆されています。 (「模型とラジオ」1971年5月号より) この間,70年1月号では,三浦慶一氏が「9mmゲージの小型レイアウトの作り方」として360mm×260mmのレイアウトの製作記事を執筆されました。 また,Nゲージのプラモデルの組み立て方の解説記事として,淀橋渡氏が,70年2月号で童友社のC58蒸気機関車セットの,12月号でフジミのD51ディスプレイモデルの製作方法をそれぞれ紹介されました。 レイアウトの製作記事としては,1972年4月号から松沢正二氏が「Nゲージの『レイアウト』製作」を連載されています。 (「模型とラジオ」1979年10月号より第1回鉄道模型ショウの記事。その後も,鉄道模型ショウの記事は毎年掲載された) そして,1980年代に入ると,一気にNゲージの記事が増えます。 宮本二郎氏は,80年10月号でGM伊豆急110系,近鉄2410系キット,11月号でGMレッドアローキット,12月号でGM商業ビルキット,翌81年1月号でGM西武101系キットの製作記事をそれぞれ執筆されています。 また,80年代の「模ラ」で特筆すべきは,菊地文雄氏の記事です。同氏の記事は大きくいって,GMなどのキット組み立て,当時の最新車両をはじめとする花形車両のフルスクラッチ,古典車両のフルスクラッチの3つに分けられます。 まず,キットの製作記事としては,81年6月号でGM東武8000系キット,7月号でGM京急1000系キット,82年1月号でKATO京急800系キット,2月号でGMクロ157キット,83年10月号でGM阪急5300キット,84年4月号でGMキハ04・キニ05キットの組み立て方を紹介されています。 この他,署名が見当たらない82年4月号のGMクモハ11キット,83年1月号のGM名鉄5000系キットもおそらく菊地氏の記事ではないでしょうか。 花形車両のフルスクラッチ記事としては,81年11,12月号で781系,82年8月号で新幹線200系,10月号でTGV,83年5月号で小田急LSE,8月号でリニアモーターカーMLU-001,84年1月号で東武DRC,そして「模ラ」最終号となった84年6月号では「夢の2階建て東海道新幹線電車」として,当時計画段階にあった「新幹線モデルチェンジ車両」が掲載されています。 この他,署名が見当たらない81年2月号のキハ183,4月号のEH10,8月号の185系も菊地氏の記事と思われます。 (「模型とラジオ」1982年10月号より) (「模型とラジオ」1984年6月号より「新幹線モデルチェンジ車両」) 古典車両のフルスクラッチ記事としては,82年5,6月号で小型機関車と古典客車,9月号でキハニ5000,EB10,レールバス,11月号でデハユニ6450,12月号でEF15,83年3月号でロケット号,4月号でEF55,6月号でEF56,7月号でEC40,11月号でデ963,84年2月号で馬車鉄道,3月号でDB10,5月号でキハ07の記事が掲載されています。 古典車両がNゲージで製作されることは現在でも少ないため,非常に貴重な記事といえるでしょう。 (「模型とラジオ」1983年11月号より)
この他,中村精密(ナカセイ)のC51(80年11月号),C53,客車(81年5,6月号)の製作記事も掲載されました。 また,1980年代には,レイアウトの製作記事も連載され,81年1月号から6月号では湯本好英氏の「Nゲージ レイアウト」が,9月号から82年3月号では「トミックス Nゲージレイアウト」が連載されています。81年8月号では十川俊一郎氏による「これが実感セクションレイアウトだ」が掲載されています。 近年では「模ラ」のような工作雑誌は少なくなりましたが,鉄道模型専門雑誌とは別のアプローチから多くのモデラーを育てたといえるでしょう。Nゲージの歴史を探る上で,こうした雑誌の歩みを振り返ってみるのも面白いのではないかと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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このネタを出されると弱いです(笑)
模・ラは昭和50年頃から読み始めましたが、松沢正二氏のレイアウト製作記事にはかなりわくわくさせられたものです。ですが私が読み始めた直後に記事自体が長期休載してしまい非常にがっかりした覚えもありました。 この事が当時の私をTMSの購読に走らせたきっかけのひとつでもあります。 松沢氏の記事はだいぶ後に再開されたのですが、その時はすっかり世間はTOMIX一色状態になってしまっていて相対的に注目度が下がってしまったのが惜しまれます。 模・ラの休刊前の数年間は私の弟がガンプラ目当てで読んでいまして、私も目にする機会が多かったですが中でも菊池文雄氏の製作記事には随分驚いたものです。これほどの渋い題材当時の中高生がどれだけ作る気になったのやら。 実は菊池氏の記事の中でEC40はごく最近私も挑戦した事があります。ただ、製作途中でワールドのEC40が手に入ってしまった為に急遽京福デキに方針変更した苦い思い出が(大汗) デ963は鉄コレの二軸動力を使って作れないか現在検討中です。 今回の記事では1960年代の工作法が非常に興味深かったです。作りと発想がかなりのフリーダムっぷりですがそれだけに今どきの模型にない何かスカッとした気分が感じられますね。これはどうかして読んでみたいものです。 (2019.07.30 21:41:05)
光山市交通局さま
コメントいただきありがとうございます。 >松沢正二氏のレイアウト製作記事 >長期休載してしまい 「子供の科学」を読んだときにも感じましたが,1960年代後半に関水製品が新しいゲージとして話題となった一方,1970年代前半はNゲージの記事が少ないですね。70年代末からは,鉄道模型ショウなど再びNゲージの話題が増えていますが・・・。 「模ラ」では,HOの車両製作記事が圧倒的に多い中で,立川富士男氏のNゲージ車両製作は,非常に自由な発想を展開されていて面白いです。 菊地文雄氏の古典車両は非常に驚きますね。ガンプラなどアニメ関連が多かった80年代「模ラ」の中では異彩を放っていると思います。 (2019.07.31 21:19:47) |