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カテゴリ:トミックス
トミックスの歴史を扱った書籍類では,トミーナインスケールに関する記述は1974年のED75から始まるものが多く,1969年から1974年までの,もっぱらバックマン製品を扱っていた期間がほとんど取り上げられていないのは寂しい気がします。 そこで,今回は,そのころの日本模型新聞の記事をいくつかご紹介し,Nゲージの普及に努めていたトミーの姿を明らかにしたいと思います。 ご紹介する記事は,ほとんどが模型見本市の記事で,執筆者はいずれも火星模型店の店主「火星人」氏です。 (日本模型新聞719号(昭和44年10月6日)より) (初期のトミーナインスケールのロゴ) (後期のトミーナインスケールのロゴ) 724号(昭和44年11月10日)28面 「トミーナインスケール(セット部品各種)トミー これはプラスチックモデルではないが,プラキットの鉄道物を紹介したついでに紹介しておこうといっても当製品はすでに見本市後発売ずみの品故,仕入ずみの店ではご存知のことと思うので概略だけにしておこう。安い方のセットは五千八百円からあるが,セットの価格では,すでにメルクリンのHOゲージのサービスセットが六千円(ばらで買うと七千円以上の内容)で前から出ているのでこれと比べれば驚かぬが,他のメーカーの9ミリゲージの価格と比べれば,同トミーのナインスケールは,やはり香港の低賃金国で作らせただけあって,●●(判読不能)と割安で,同タイプの物で二割から物によっては三割近くも安いのが一番の魅力点。 アメリカ型ディーゼル機関車に貨車四両,曲線四本,直線レール二本,パワーパック付の五八〇〇と,違ったタイプのディーゼル機関車に貨車が一両多い六,八〇〇円の二つのセットがあり。またこれ等車やレールのばら売もあり,モーター付のディーゼルは二〇〇〇円から,貨車は三八〇〇(三八〇の誤植か)と四〇〇,その他レールやアクセサリーも色々と出される予定。 このばら売,ゲージは勿論,連結器も同型の物を使用しているので流用が効くので,すでに他のメーカーの9ミリゲージを買って楽しんでいる客に,案外売れて行くのではなかろうか。 これで,車両が馴染みのある国鉄の物を出してもらえば申し分ないのだがせめて車はアメリカタイプでも,セットの箱は輸出兼用でなく外と内に印字してある字は英字をやめて,日本タイプで出してもらいたかった。」 758号(昭和45年7月27日)11面 「Nゲージセット(六八〇〇円)トミー 同社のNスケールのこの新セットは,八月下旬に発売の予定だが,今までのセットにはない,アメリカタイプだが蒸気機関車がセットされているのが魅力。動輪二つのBタイプだが,後ろにボギー台車の炭水車をつないでいる。他に貨車四両とトランス,レール付。 HOジーゼルF9セット(七千円)同 また同社から九月初旬にはHOサイズの鉄道セットが発売される。 こちらもアメリカタイプの貨車が五両付でトランス・レール(丸型)とモーター車は,アメリカのディーゼルカー,サンターフェアがセットされている。別にGP40(七五〇〇円)のも発売される。 HOレーシングセット(六八〇〇円)同 以上の鉄道セットと同じバアッチマン製のHOサイズのレーシングカーセットも当トミーから九月初旬に発売される。セット内容は写真の通りだが,コースは横幅一メートル,円型部の直径約四十センチの八の字立体交叉型となっている。」 775号(昭和45年12月7日)25面 「トミーのNスケール鉄道セット各種 プラ模型ではないが,鉄道物の一つとしてトミーの完成品の鉄道セットもここで紹介しておこう いずれも日本の子供客にはなじみの薄い外国タイプの車両だが,買い易い価格が魅力で専門店でも売れている同社のNスケールセットに新製品が二点加わる。 一つはドックサイダー蒸気機関車セット(六千三百円)と,炭水車を後ろに牽引するUSRA蒸気機関車セット(六千八百円)が,共に貨車四両付で発売される。 今回のセットから,今までのような重さばる大きなボール紙版の箱でなく,エンビ板で特別に整型されたセット箱を使用 商品価値を高めているが,小売店でも重さばらず取扱いやすい品となっている 先発のF9ディーゼル車セット(五千八百円)とGP40ディーゼル車セット(六千八百円)も今回からは前記のエンビ整型によるセット箱で発売される。 トミーのHOスケール鉄道セット また同社からあらたにHOゲージの鉄道セットも発売されるが,勿論これも直流のパワーパック付でF9ディーゼル車セット(七千円)と,GP40ディーゼル車セット(七千五百円)の二点が共に直径九十センチの曲線レールと貨車四両付で市販される。」 848号(昭和47年7月3日)26面 「Nスケール鉄道シリーズ新製品,トミー プラキットではないが鉄道部門の商品としてついでに紹介するならば,トミーの香港製Nスケールは,買い安い価格が魅力で子供客に売れているが,新製品として初めてボギー台車をつけた客車がこの秋に発売される。 また喜ばしい新製品ニュースとしては,十月頃になるとのことだが,日本の貨車が七種類発売されるとのこと。 さらに先のことになるが,来年には日本の電気機関車も企画されているとのこと。」 929号(昭和49年7月15日)46面 「九ミリ貨車九点(予価三〇〇〇円)トミー 国鉄の貨車を始め,先日はED75の電気機関車(二、九〇〇)円を発売)俄然人気の出て来た同社の9ミリゲージ製品に,今秋には国鉄貨車が先の九組に続いて、またまた九組車が発売される 車種は,ワキ,ク,タキ,ツム,セラフ,ワムトムフ,ヨ,カの九点だが,さらに年末にはDD13型の電気機関車(原文ママ)も発売を予定しているとのことだが楽しみだ。」 942号(昭和49年11月25日)26面 「9ミリのCディーゼル(千九百円)トミー これはプラキットではなく,トミーから十一月下旬に発売される香港製の9ミリの完成車。入換用のCタイプのディーゼル機関車だが,全長五センチの大きさで,三車輪とも,ギヤーが連動されている。 また写真の後部に見えるSLは,アメリカのノーザン242で,炭水車も入れると全長二三センチもある。しかし,動輪が四つもあり同社からの発売の曲線レールでは回りきれぬので,出荷は思案中とのことだが(価格も未定)他のメーカーのゆるいカーブを持っている客もあるのだから,遠慮せずに出して欲しいものだ。」
(日本プラモデル工業協同組合編「日本プラモデル50年史」より) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.08.04 23:01:51
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