私のNゲージ考古学

2023/04/19(水)14:36

鉄道模型・ラジコン・スロットカー(前編)

その他(20)

今回は,鉄道玩具・鉄道模型のラジオコントロールについて少し考えてみたいと思います。 鉄道玩具・鉄道模型の動力方式としては,無動力,蒸気(ライブスチーム),ゼンマイやフリクション,電動モーターなどがあり,電動の方式としては,主に1 車体に電池を搭載し,車載のスイッチで制御するもの2 車体に電池を搭載し,外部から電波や赤外線で制御するもの3 レールから電気をとり,レールに流す電圧を操作することで制御するものが考えられます(注1)。 1はプラレールやスーパーレール,ミニミニレール,ZZトレインなど多数の例を挙げることができます。シンプルな方式ですが,概ね「走行」か「停止」のみで,スピードコントロールはできません。その点,2や3は,手元でスピードコントロールできることが魅力といえるでしょう。 3はNゲージなど鉄道模型で広く使われている方式で,鉄道玩具でも使われることがありますが,その場合,電気をAC電源からとる製品は少なく(トミーOOOゲージは珍しい例),乾電池式のパワーパックが多く用いられています。 古いブリキのレール玩具セットは1か3の方式で,「HO」と称している場合,3であれば一般のHOゲージの線路・パワーパックがそのまま使えることになります(注2)。 また,3の進化形として,線路に走行用以外に信号用の電流を流して制御するシステムがあります。古くは,学研のSCRシステムやリマのトレコンシステムがあり,現在のDCCもこの方法ですね。スピードコントロールのみならず,より複雑な運転を楽しめるのが魅力となります。 さて,2のラジオコントロール方式は,プラレールの一部製品に見られるほか,​デジQトレイン​,バンダイの​ビートレインEX​等の玩具がありましたが,どうも鉄道玩具としては少数派のようです(一例として,まんだらけZENBU No.94では,老舗玩具メーカー・マスダヤのラジコンひかり号が紹介されています。「ラジコン」はマスダヤの登録商標であり,他社製品では「ラジオコントロール」「R/C」などと称しています。)。Nゲージ・HOゲージなど鉄道模型との関連が深いものとしては,以下のような商品がありました。 まず,Nゲージでは,2002年にマイクロエースがジオラマレールとともに発売した「RCコントロールセット」がありましたが,これは,2というより3の一種というべきもので,車両に受信機を搭載するのではなく,線路に接続した受信機に,送信機から無線で信号を送って,レールに流す電圧を操作するシステムであり,車両側の加工が不要なのが魅力ですが,複雑な運転は困難と思われます。 Nゲージで正真正銘2の方式(いわゆるラジオコントロール)をとったものとしては,バンダイのBトレインショーティ N700系新幹線「のぞみ」運転セット(2008。第2弾として0系が予告されていたが未発売),タカラトミーの​Qトレイン​(2008)など,一部にとどまるようです。Qトレインでは,EF81 81(北斗星),485系L特急(雷鳥),EF66(あさかぜ),E233系(中央線),E231系(山手線),113系 ※湘南色,E233系(京浜東北線),181系(とき)45号車鉄道博物館仕様,103系(山手線),EF81(トワイライトエクスプレス),113系(横須賀色),E231系(山手線)といった車両が製品化されていました(この他に,EF81(カシオペア),江ノ電300形,0系新幹線,N700系新幹線の製品化が計画されていたが,いずれも未発売)。 また,HOスケールでは,古くはダイカスケールのウッドから発売されたラジトロンひかり号などがありました。この他,2003年にタイヨーから発売された「ラジ鉄」は,HOスケールより車体は小さめながら,16.5ミリのレールに載せることができます。同様に,2010年に発売された丸忠のリモトレインは,プラレールのようなショーティ車体ですが,別売の「HOゲージ対応シリコンゴム」を装着することで16.5ミリのレールの上を走行させることができます。 (トイズマガジン1978年11月号より。ダイカスケールのウッドによる「ラジトロンひかり号」) (鉄道おもちゃ6号より。タイヨーのラジ鉄) (鉄道おもちゃ48号より。丸忠のリモトレイン) ラジ鉄を紹介した雑誌「鉄道おもちゃ」6号56,57頁には,以下のような記述があります。「自動車や航空機,船にラジコンがあるのだから,鉄道にだってラジコンがあってもおかしくない・・・・・・と思うのだが,鉄道に関しては鉄道模型というシステムがラジコン登場以前(略)に普及しているためか,鉄道ラジコンはあまり日の目を見なかった」「ドイツのおもちゃ『プレイモビル』の鉄道シリーズは,RCトレインというラジコンシステムを採用しています。また,本誌でもときどき紹介しているGゲージ鉄道模型は,アメリカではラジコンバージョンもたくさん出ています。」 こうして振り返ってみると,やはり,鉄道模型では,ラジオコントロール方式の製品は少ないようです。自由に動き回れる自動車,航空機,船舶の模型と異なり,実物が必ずレールの上を走る鉄道模型では,レールからコントロールするやり方が相性がよいということなのでしょうか。 (注1)この他,自動車や戦車の玩具ではリモコンカー,リモコンタンク等の名称で,車から有線でつないだコントローラーでハンドル操作を行う方式があり,最近の鉄道玩具では,大阪の玩具メーカー辰巳屋から発売されていた「人気のトレインシリーズ」がこの方式だったようです。 (注2)ただし,古い玩具ではフランジが極端に高いものが多く,模型用の線路で走らせる際には注意が必要となりそうです。

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