初期の津川洋行製Nゲージ車両
前回,津川洋行のボンネットバスをご紹介しました。今回は,同社のNゲージ車両製品のうち,初期のものを振り返ってみたいと思います。(1990年代の津川洋行の車両製品たち。左からキハ10,キハ07,南部縦貫鉄道キハ10,沼尻鉄道ガソ101(※HOナロー))1970年代からシーナリーやストラクチャーといった鉄道模型用品を製品化してきた津川洋行は,1997年,南部縦貫鉄道のレールバスをNゲージで発売しました。プラ製,無動力(後年,動力入りも発売)のアクセサリー車両としての製品化でしたが,この年に南部縦貫鉄道が廃止になったこともあり,大変話題になった製品でした。(1994年6月発行の津川洋行カタログ。表紙の南部縦貫鉄道キハ10は試作品だろうか)(RM MODELS 1997年8月号より。南部縦貫鉄道キハ10。ペアーハンズのエッチングキットと競作となった)続いて,キハ07,キハ40000,キハ10が,やはりプラ製,無動力のNゲージ製品として発売されました。また,キハ07のバリエーションとして,夕張鉄道キハ202があります。(RM MODELS 1998年2月号より。キハ07)(RM MODELS 1998年7月号より。夕張鉄道キハ202)(RM MODELS 1998年10月号より。鹿児島交通キハ100と東急5000系。いずれも未発売)(RM MODELS 1998年10月号より。キハ40000。山下貴久雄氏が同誌2009年7月号掲載の「新・鉄道模型考古学 国鉄気動車編12」で詳しく紹介されている。)(RM MODELS 1999年4月号より。キハ10)これら津川洋行の初期の車両製品は,他社にない題材をプラで発売した点で画期的であったものの,塗装がもう一つシャープさに欠けていたためか,未塗装版を求めるユーザーの声があり,メーカーでもキハ07やキハ10の未塗装版を発売しています。今日から見ると,私鉄譲渡車のカラーバリエーションが夕張以外にあってもよかったと思います。キハ07の鹿児島交通カラーはメーカーでも検討していたようですが,結局製品化されませんでした。キハ10の南部縦貫鉄道カラーがあれば,レールバスとの相乗効果もあったと思うのですが…。その後,長らく車両の新作がありませんでしたが,2009年頃から,銚子電鉄デキ3や,キハ40000動力付き,モーターカー,有田鉄道コッペル1号機,有田鉄道キハ201(元・キハ40000)といった意欲的な小型車両を次々に発売し,ファンを驚かせていることは周知のとおりです。これらの製品は,動力,ディテール,塗装などあらゆる面で,かつての津川洋行製品とは段違いの出来となっています。かつての津川製品の大らかな味わい(特に,レールバスのぼてっとした塗装には,何とも言えないあたたかみを感じます。)も捨てがたいのですが,やはり,今日の水準で初期製品の改良再発売を期待したいところです。例えば,キハ07のバリエーションとしてキヤ92あたりも面白いと思います(マイクロエースがJAM限定品で発売しましたが・・)。