河合商会のB6形蒸気機関車ほか
プラモデルメーカーであった河合商会(注)は,1991年からNゲージ製品を発売するようになりました。当初は,トミーナインスケール/トミックスから発売されていた香港製の日本型貨車を引き継いだ製品が中心で,その後,河合商会オリジナルの貨車製品も加わりました。豊富な種類を誇り,貨車ファンの方にとっては,目が離せない存在であったと言えましょう。そして,貨車以外の車両製品としては,B6形蒸気機関車,Cタイプディーゼル機関車,古典客車が発売されていました。以下,貨車以外の製品を振り返ってみたいと思います。B6形蒸気機関車は,1994年に発売されました。当初,トミーナインスケール/トミックスから発売されていたKSK Cタンクの再発売が予定されていたようですが,実際は,まったく新規設計のB6が製品化されました。(河合商会カタログより。発売予定品のシルエットはKSK Cタンクのそれである。)(レイルマガジン94年8月号より。B6形蒸気機関車の製品紹介)(B6 2157タイプ)砂箱の位置などにより数種のバリエーションがあり,貨車や後述の古典客車と組み合わせたセットも発売されていました。珍しいところでは,動力はそのままに,車体を真鍮製とし,輸入当初の姿をプロトタイプとした「真鍮ボデー」という製品もありました。古典客車は,B6のお供として1997年に発売されたもので,米国・バックマン社製の開拓時代の客車を塗り替えたものでした。黄色く塗られた「開拓使号タイプ」と,ぶどう色の「古典客車タイプ」の2種があります。なお,2010年に,客車のみが再生産されています。B6のような古典機がプラ完成品で発売されることは今日でもほとんどありませんし,実車は国鉄,私鉄,専用線と幅広く活躍し,かつ,最も遅いものは昭和40年代まで稼働していたので,Nゲージの世界でも様々な遊び方ができる貴重な製品だと思います。また,今日でも動態・静態の保存車があり,保存車としてレイアウトに飾るのもよいでしょう。ただし河合商会のB6には,しばしばダイキャストブロックが変形するものが見られますので,中古店等で購入の際は注意が必要です。(名古屋市科学館に保存されていた2412号機)最後に,Cタイプディーゼル機関車は,バックマン製品を塗り替えて専用線風にしたものです。この機関車はトミーナインスケール/トミックスや,今はなき三ツ星商店からも発売されており,本家バックマン製品や,後述するポポンデッタ製品を含め膨大なバリエーションがあります。河合商会でも様々な塗色が製品化されました。(RMモデルズ1999年1月号より。河合商会のCタイプディーゼルはこの2色から始まった)(イタリア・リマ社でもよく似た機関車(左)を発売していた。バックマン(右)の3軸に対し,リマは2軸となっている。)残念ながら,2012年に,河合商会は破産してしまいました。幸いなことに,貨車やCタイプディーゼル機関車は鉄道模型店・ポポンデッタに引き継がれています。B6の再販を期待したいところですが,ダイキャストブロックの問題など,中々難しいのかもしれません。(注)東京・神田須田町の老舗鉄道模型店,カワイモデルとは無関係。河合商会もしばしば「カワイ」とのカタカナ表記を使っていたので混同されることがあります。