京都の驚異の強風扇子
ようやく梅雨らしいジトジト、ムシムシした日が続くようになった。新しい扇子が欲しくなって、宮脇賣扇庵へ出かけた。あまり女ちっくなのはイヤ。草花でもいいけど、花ばかりの大きいのは園芸品種みたいで品がない。華奢で繊細なタッチの草花では気が滅入りそう。細密でリアルなのは絵柄として似つかわしくないし、暑苦しそう。いっぱいあるのに、気に入りそうなのが見つかるんかなぁ、などなど思いつつ、見てると。男物のコーナーになんだか長い扇子が。龍馬扇とある。長さが三種類。一番短いのを手にとって開いてみた。扇面は一色で赤いの、他に、紺色の、こげ茶色の、辛子色のがある。ツヤのある厚手の紙。柿渋紙らしい。あおいでみると、バッサバッサと力強い風が。いままでの普通の扇子は、ほとんどの空気を捕らえきれずに逃がしていたような気がするくらい。次に大きいのをとって試してみると、さらに強い風が。おお、涼しい。机上のメモ紙など飛んでいってしまいそうだ。これなら暑い時でも、ゆったり優雅にあおいでいられる。せわしなくパタパタパタッてあおぐのは、傍目にはどうも品がない。じゃあ、一番長いのは。普通の男物より、10センチくらいは長い。A4サイズの入るカバンにさえ入るのかどうか。さあ、手にとって開いて。ううっ。手をまっすぐ伸ばさないと、顔に触れそう。でも、そうすると、自分に向けてはあおげない!!外国のお客さん向きのサイズなのかしら。とはいえ、あまりに色気がないし、サイズ的に持って歩くには向かないと思ってやめたけど。あの風はすごく魅力的。殿様気分で夏がすごせそう。そして、再び女物のコーナー。キァア、可愛い!見つかると次々と。小絞柄のシリーズ。月うさぎでしょ、千鳥でしょ、むら雀でしょ。小さな同型の柄が規則的に散らしてあるけど、たまに色が金泥のみになってるのが混じってるところなんか、なかなか楽しい。でも、どうしよう。今持ってる、蓮の葉の間にカエルとオタマジャクシが遊泳している版画のもの。ボロボロとは言えすごく気に入りなんだけど。もんもん悩んで結局やめちゃった。