ことりのそら

それにしても。つい浮かんでしまう、素朴な疑問。
丸かじりがいいりんごに、なんでそんなに農薬かかってるんだろう。
病気が虫が、っていうのはわかったけど、
農薬が出回るようになったのは、人間とりんごの付き合い全体から
考えれば、最近のことじゃないかと思うんだけど。
その前は、どうしてたんだろう。
（たぶん農薬などをずっと使い続けていたら、
りんごの木自体の病気なんかに耐える力は落ちてるとは思うけど）

農薬を使わないとなると病気や虫がつくから見てくれが悪くなる。
だから商品にならない。
それに、そうやって病気や虫をつけておいたら、
周りの農家から苦情が来る。
そんなこんなで、農薬なしでりんごを作る方は数えるほどなんだって。

まあ、これは、消費者の無知やわがままもあると思う。
確かに、私だって傷のないりんごと斑点や傷跡つきりんごが
ただ並んで売られてたら、たぶんきれいなほう買うもんな^^;
……だけど、『これこれこういう農薬をこれくらい使ったりんごです』
『農薬を使わないから斑点や傷つきになってるりんごです』って
札がついていたとしたら、私絶対後者を買うけどなぁ。

周りとの兼ね合いについては、お米でも似たような経験がある。
農協に勤めてた友達に無農薬のお米の話をしたら、
そんなことしてもらったら困るって真顔で怒られて面食らった。
つまりは、病気や虫の害が発生したら、周囲の田んぼまで
巻き添え食うじゃないか、ということなんだけど。

農協とはいっても農業部門に勤めてるわけじゃないけれど、
でも農協の人なら農薬の害なんかについてもよく知ってるかなと
思ってたんだけど（無農薬でお野菜なんかを作ってくださる方は
比較的多い地域らしいし）、そーか、そういう理論になっちゃうのか、と
びっくり半分感心半分で聞いていたのを覚えてる。
（どっちかというと私は、周りで農薬使われちゃったら
せっかく苦労して手をかけて無農薬で育ててらっしゃるのに……って
いいたくなっちゃう口なんだけど^^;）

虫が食ったようなもの食べられるか、って思うか、
虫も食わないようなもの食べられるか、って思うのか。
………己が少数派らしいということは一応認識してるけど
私の周りは似たような考えの人だらけなので、
時々世間一般の常識にぶつかると、正直面食らう。
でも、斑点や傷があっても、元気なりんごを安心してかじりたいな、私。

でも。
とっても手間がかかって、いろいろ大変で、
なのに一般的には商品価値がない、なんて
とんでもなく不条理だと思うけれど、それでもあえて
農薬を使わないりんごを育ててくださってる方があるのは、うれしいな。
どうしてですか、って聞きたくなっちゃうけど、
それでもそうしてくださる方があるのは、とってもうれしいな。

……それはたぶん、この地球がまだ大丈夫だっていう証拠。
ありがとうございます。

確かに見てくれちょっと悪いけれど、
いい色といい香りの、きゅっとしまったりんごをかじりかじり、
見たことのない北の国の青い空と、
見たことのない、このりんごを育ててくださった方たちのお顔を
思い浮かべておりましたとさ。