ことりのそら

2005/12/23(金)23:05

おおきな木のおはなし

ちょっと創作(4)

世界の真ん中に、大きな木が生えています。 とてもとても大きな、不思議に輝く木です。 大きな木は、普通のお水では育ちません。 『あったかぁい』で育ちます。 『あったかぁい』は、いろんなものの心から生まれてきます。 ふんわり丸い形をしていて、ほんわりやさしく光っています。 どんなものから生まれてきたかで、すこうしずつ色が違うんですよ。 大きな木をお世話するのは、小さな天使たちです。 天使たちは世界中を飛び回って、『あったかぁい』を腕いっぱいに集め、 大きな木のところへ運びます。 でもね、時々おっちょこちょいの天使がいて、 『あったかぁい』をぽろりとこぼしてしまいます。 でも、だいじょうぶ。 冬がきて町が寒くなると、転がっていた『あったかぁい』が ふんわり浮かび上がって、大きな木のところへ集まってきます。 すると、大きな木に花が咲きます。虹色に光る、すてきなにおいの花です。 お花の中から小さな実がころん。これは、あったかぁいの種です。 あったかぁいの種は、風に運ばれて世界中へ旅していきます。 誰かの上に落ちて、いつか芽が出ると、そのひとのこころはあったかぁくなります。 それからね、天使たちはいつも、あったかぁいの種をポケットに入れて、持っています。 さびしいひとやかなしいひとを見ると、そぉっと近づいていって、 あったかぁいの種を、そぉっとそぉっと、その人の心にまくんですよ。 1年にいちど、お花の咲く日がいつか知っていますか? ……そう、クリスマス! 今年も、たくさんの『あったかぁいの種』が、みんなの上にふりますように。 ☆☆☆☆☆ これは、私がイチイの木から教えてもらったお話です。 イチイの木は、『大きな木』の遠いお友達なのだそうです。 イチイの木の、あったかぁい色の丸い実は、やさしい甘さでおいしいです。 でもイチイの木の場合は、実の中の種はかんだり飲み込んだりしちゃだめなのだと、 木が住んでいた修道院のシスターたちが教えてくださいました。 (昔に書いた話を引っ張り出してくる☆  みなさん、どうぞよいクリスマスを!)

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