ことりのそら

2006/11/07(火)23:44

ありがとありました

観てきました(5)

昼間は仕事。本日、またまた重要な職場行事。 でも終業後はさっさか帰ってきて、昨日の映画館へ。 今日は、黒木和雄さんの『父と暮せば』という映画を観るのだ。 ちなみにこれ、戦争レクイエム3部作のうちの1つなのだそうで。 舞台は広島。原爆で生き残った(ご本人にしてみれば多分、 生き残って『しまった』)、娘さんとお父さんの話。 『生き残ってしまった』負い目から、自らの思いを無理やり抑えつけて 幸せに背を向けようとする娘さんと、 その幸せを応援するために、あの世から舞い戻ってきたお父さん。 もちろん、娯楽映画ではない。 最初からわかってはいたけれど、ちょっとうなだれて帰った。 あたたかかったりお茶目だったりもするけれど、題材自体が重いもんな。 もとは戯曲だったのだそうで、確かに舞台を観てるような感じで、 ちょっと不思議な感覚だった。 しっかり者の娘さんと、ちょっとおとぼけ部分もあるお父さんとのやり取りを くすくす笑いながら見たりもしていたのだけれど、原爆の話に身を固めたり、 途中で峠三吉さんの、ある娘さんをうたった詩を思い出したりもして。 ……ああ、本当に、それはどんなにむごくて、かなしくて、くるしい出来事だったんだろう。 ヒロシマに限らず、いっぱいあったのだろうな。 『生き残ってしまった』と思いながら生きた方たち。 2人並んでいて、1人は亡くなって1人は生きていて、 そのことをなぜだなぜだと問い続けながら時間を重ねることも、 生きるための、魂を引き裂かれるような別れも。 多くの方たちが、そんな痛みを今も抱えて生きていらっしゃるんだろう。 私の住んでいたところでも、大きな空襲が何度かあったと聞く。 町の規模自体は、ここより大きいところも結構あったはずだけれど、 犠牲者の数は、県内ではもっとも多かったのだそうで。 通っていた高校にも慰霊碑があったし、小さいころから結構 戦争の話に触れることも多かったのだけれど、 今年の夏、戦災に遭った方たちの証言集を読んで、ただただ沈黙してしまった。 映画は希望をにじませながら終わったけれど、 そのことにほっとしながら、でも、心はしーんと黙り込んだままで、 でもどこかで強く波立っているみたい。 ……なんというか、カッチーニのアヴェ・マリアが 頭の中をぐるぐるするような感じ……といって、 人様に通じるかどうかはわからないけれど^^; ……こんなむごくてかなしいことは、もう2度と繰り返してはいけない。 こんな思いを、金輪際したくないし、誰かにしてほしくもない。 決して、決して。 そんなこと言いつつ、日常の中で争いや諍いの種をまいたり育てたり、 ついつい、してしまっているのだけれども。 適度にケンカしつつ共生していくのって、難しい。 ああ、なんだか頭の中がぐるぐる。 でも、観にいけてよかったな。 もう誰もあんな思いをしないように。 幸せに生きていけるはずだった人が、ちゃんと幸せに生きていけるように。 生きていることに負い目を感じる人を、生み出さないように。 しばらく、がんばってぐるぐるしよっと。

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