■ ドラマ 永久の彼方へ

2020/09/14(月)15:17

第九十六話  総本山への道中 その6 (それにピッタリって?)

第一章 061 ~ 122 話(64)

.   太陽の日差しが痛いくらいに肌を刺す。  歩く地面の遠い先では、蜃気楼のようなもやもやが見える。  3人はいつしか森を抜け、開けた荒野にも似た場所を歩いていた。 こういち   「この辺りからは、日陰を拾いながらしっかりと休養し、水分も取りながら進もう。」 ゆうすけ   「熱射病になり兼ねないからな。」 利江   「帽子ひとつでずいぶんと違うのね・・・・。    やっぱり備えはきちんとしないとってことね。    でも、さすがにしんどい・・・・。」  数本の木々が立ち並ぶ場所にくると、3人は日陰に腰を下ろし、しばし休養を取る。  リュックからデカイソフトケースに入った水袋を持ち出し、  二人の水筒に注ぎ足すこういち。 ゆうすけ   「ピッタリに無くなったな。」 利江   「無くなると困るじゃない・・・・・、それにピッタリって?」 ゆうすけ   「もうすぐ最初の目的地に着くからさ。    あとは水筒内の分で大丈夫ってこと。」 利江   「最初の目的地・・・?」 こういち   「そっ、大少林寺さ。」  そのとき3人の視界には、蜃気楼のモヤよりはこちらに近いところを歩く3人の男の姿が。 ゆうすけ   「あれ? あいつさっきのなんてったっけ? そ、チュンホーじゃないか♪」 利江   「本当だ。。。 私達、いつのまにか抜いてきちゃったみたいね。」 ゆうすけ   「寄り道してたんだろうぜ、2人増えてるから。」 こういち   「おぃおぃ、こんなところからもう現れるのかよ・・・・・」 利江   「えっ?」  すると、チュンホー他2名の歩く路上に、3人の黒装束の男が道を塞ぐように現れた。 利江   「と、盗賊?」 こういち   「いや違う。 入山試合だ。」  行く手を遮った3人に気づいたチュンホー他2人、それを見て足を止めた。 チュンホー   「私は大少林寺のものだ。 そして・・・・」 チュンホーと一緒の男1   「総本山を目指す 侯 玉穂(こうぎょくすい)と申す。」 チュンホーと一緒の男2   「同じく 候 玲訓(こうれいくん)と申す。」 チュンホー   「盗賊に類する目的ならば、悪いことは言わない、そこを退くことだ。」 黒装束-1   「ならば目的通りだ。」 黒装束-2   「我ら、黒流拳を習得する者。」 黒装束頭   「総本山、入山試合を所望する。」 チュンホー   「くっ、入山試合か・・・・」 チュンホーと一緒の男1 改め 侯 玉穂(こうぎょくすい)   「入山試合とな。」 チュンホーと一緒の男2 改め 候 玲訓(こうれいくん)   「あい分かった、心して掛かって参れ。」  紐で結わった背中の荷物を脇に置き、手に持っていた1mくらいのアルミ材?のような棒  だけを持ち、侯 玉穂(こうぎょくすい)と、候 玲訓(こうれいくん)は黒装束の3人の  前に立った。  チュンホーは 侯 玉穂(こうぎょくすい)から入山証と呼ばれている[金色の札]を  預かると、二人の前方に立ち、 チュンホー   「ここにあるが [入山証] だ。 立会人チュンホーが預かる。」  黒装束の3人にそれをかざす。  黒装束頭が黙ってうなづいた。  チュンホーは [入山証] を懐に収め、2人の後方に下がる。 利江   「何が始まるの?」 ゆうすけ   「総本山へは [入山証] がないと入れないのさ。    入山試合ってのは、その [入山証] が無い人が入山したいならば、持っている人を    倒して手にするってことになっているらしい。」 利江   「じゃぁ、あれって・・・・・」 こういち   「お互い承知の上でってことさ。    総本山は限られた人だけに入山が許されるんだけど、    それも実力主義ってやつだね。 弱者はたどり着けないしくみになっている。    つえーやつしか行けないところさ。」 利江   「すると、こういち君もあんな札? 持ってるの?」 こういち   「うん、おいらのは一枚しかない赤いやつね ^ ^ 」  黒装束の男達は、脇差の剣を抜いた。  侯 玉穂(こうぎょくすい)と、候 玲訓(こうれいくん)はアルミ材?のような棒を  前にかざした。 すると、  シャキーーン  シャキーーン  とその一端の柄が音と共に突然伸びた。  侯 玉穂(こうぎょくすい)   「広州明冥道(こうしゅうみんめいどう)候流(こうりゅう)、参る。」  二人は、手に持つ伸びた棒を頭上でくるくると回した後、片手で右下に据えて身構えた。  黒装束3人、剣を振りかざし襲いかかったっ  うぉーーりゃーー  キーン キーン キンキンキーン  剣を棒で受け、払いと、金属が弾ける音が響き渡る。 利江   「こういち君は赤なのね。」 こういち   「あの金色を持っている人達は大変なんだよ。 名誉なだけにね。」 ゆうすけ   「おれも入山試合の場には初めて遭遇するけど、あのチュンホーって・・・・」 こういち   「あのチュンホーは案内人、兼立会い人ってことだ。     [金の札] を持って入山すると、次回まではその流派が総本山に登録されるんだ。    道場を持っている人は、それが宣伝になる。    で、チュンホーみたいに次回開催のときに大少林寺の人が迎えに行くんだね。    その時に、登録した流派と合致しないと無効になってしまうんだ。    だから、道場荒らしでゲットしても当然盗んでもダメ。    で、お迎えに行った後から奪い合う試合が有効になるんだ。    その結果を見届けるのが立会人の役目って訳け。」 利江   「なんで大少林寺の人が迎えに行くの?」 こういち   「招待している側だからだよ。 というより開催している側か。。。」 利江・ゆうすけ   『ふぅ~ん。。。』  候流(こうりゅう)の二人は棒の中央を握り、両端を自在に使って剣をはたき、  交わし、そして相手の肩、脇に打撃を加える。  時折、端を持って棒を長く使って大きく振り回し、相手を後方へ追いやる。  一端下がった黒装束の3人は、腰に刺したもう一つの剣を持ち、両手で構えた。  そして2人が 侯 玉穂(こうぎょくすい)に、  残りの一人が 候 玲訓(こうれいくん)と対じした。  3人の6刀剣が候流(こうりゅう)の二人に襲い掛かる。                      キン キン キンキンキーン  2人を相手にする 侯 玉穂(こうぎょくすい)、今度は防戦一方。  めまぐるしく棒を回転させ、精一杯剣を払っている。  一方の一人を相手にしている 候 玲訓(こうれいくん)、剣を避けながら、  時折相手に打撃を加えている。            キン キン ドス★ ドス★ 黒装束-1   「ぐわっ」                              -つづく- 第97話  総本山への道中 その7 へ  (おじちゃんかよ・・・・)   ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。     また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。

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