2021/06/29(火)14:41
第139話 高級クラブ (ピンポンピンポン♪ 当たり~☆)
.
15分後、五月ママの店に二人のホステスが入ってきた。
さすが高級クラブだけのことはあり、そのホステスの身なりもブランド物を思わせるような
スーツ姿、そしてもう一人は大きなスリットのドレスで大人の雰囲気が凄い。
そのうちの一人のホステスが、
ホステス 徳江
「ママ、ありがとね♪」
と、入り口付近にいた五月ママにお礼を告げた。
五月ママ
「いいえ~、徳江ママには昔、大変お世話になりましたから♪」
ホステス 徳江
「もうママじゃないわ。 じゃ、お願いね。」
五月ママ
「はい、分りました。」
返事をすると二人を博士と研究員2名の座る7番テーブルに連れてきた五月ママ。
五月ママ
「失礼します。
今日は新しく二人をご紹介しますね。
徳江さんと和恵さんです。よろしくお願いします。」
研究員A
「これはこれは、飛びっきりのベッビンさんですね。」
ニース博士
「ささ、どうぞお座りなさいな。」
ホステス 徳江
「ではそちらに失礼します。」
ホステス 和恵
「失礼しま~す♪」
このホステス二人、なんと、とくさんと和恵であった。
この業界に顔の利くとくさん、客の条件をそれぞれのお店のママに手配し、
らしき客が来たら、近くで待機する二人に連絡する手はずになっていたのだった。
五月ママは指名のランを残し、他のサポート2名にうなずき、席を立たせる。
ホステス 徳江
「徳江と申します。よろしくお願い致します。」
ホステス 和恵
「和恵で~す。。。よろしくお願いしま~す♪」
ニース博士
「何か好きなものを頼みたまえ。」
ホステス 徳江
「まぁ、ありがとうございます。では、同じものを頂きます。」
ホステス 和恵
「私もそれで。。。」
とくさんは、馴れた手つきでグラス2つにアイスを収め、ブランデーを注ぐ。
研究員B
「では、我々の出会いを祝して、カンパ~イ♪」
『乾杯~♪』
グビグビグビ
研究員A
「和恵ちゃんは飲みっ振りがいいね~♪」
ホステス 和恵
「いつも飲みすぎて、怒られているのぉ~ ^ ^* 」
ホステス 徳江
「さ、先生もお一つどうぞ。。。」
研究員B
「先生じゃなくて、博士だよ、は・か・せ・♪」
ホステス 徳江
「まぁ、そうでしたの。失礼致しました。
では博士♪ 御作り致しますわ。」
ニース博士
「お、おぅ、では頂くとするか。」
手にしたグラスを口元で傾け、一気に飲み干す博士。
研究員B
「博士は、今までだれも出来なかったことを研究しているんだぜ♪」
ホステス 和恵
「それは凄いね~。 水爆よりももっと凄い爆弾とか?」
研究員A
「ちっがうよ、そんな爆発物じゃな~いの。」
ホステス 和恵
「じゃ~ね、タイムマシンとか。」
研究員B
「機械じゃないんだな~。」
ホステス 和恵
「じゃ、透明人間なんてどぉ~?」
ニース博士
「ほぅ、当たらずとも遠からずってやつですな。」
ホステス 和恵
「近い、 近い~?」
研究員A
「うん、ぐぐっと近づいた~♪」
ホステス 和恵
「よ~し、そんじゃ~ね、空飛ぶ人間っ!」
研究員B ・ ホステス ラン
『ブッブーー』
ホステス 和恵
「何よ、二人して声まで揃えちゃて。失礼しちゃうわっ」
ニース博士
「あははは。
そう怒りなさんな。
実は、人間の体力に関する研究を行っているのだよ。」
ホステス ラン
「たとえば、マラソンが早くなるとか?」
研究員A
「ピンポンピンポン♪ 当たり~☆」
ホステス 徳江
「まぁ、凄い研究ですのね。
オリンピックでは金メダル独占できるかもしれませんわね。」
ニース博士
「そうだな、オリンピックなら金メダルは確実に取れるようになれる。
人体の神秘ですよ。 生命はとてもすばらしい。」
ホステス ラン
「ねぇねぇ、私ね、今スイミングに通ってるの。。。美容と健康のために♪
もしかして、突然オリンピックの選手になれるくらい速く泳げるようになる~?」
研究員A
「うん、なれる♪」
ホステス ラン
「ほんと~♪ すごぉーい!
ねぇねぇ、私にもその力、下さいよー♪」
ニース博士
「まぁまぁ、まだ今は研究段階なのでね。
改良する前の体が体力がある人でないと、欲しい力が備わってくれないんだ。
あとは相性もあってね、中々難しいところだよ。」
ホステス 和恵
「なぁ~んだ、注射でもして、すぐに へんし~ん なんて出来ないのね・・・・。」
研究員B
「そこを目指してはいるんだけど・・・・。」
ホステス ラン
「あのさぁ、私モルモットになるから私にその研究をちょこっとぶつけてみません?
夢だったんです。オリンピックの選手になって、あの晴れ舞台で金メダル取ることが。
実は、中学のときに、県大会で優勝したことがあるの、100m平泳ぎで。
心配ないわ、私、両親を早くに亡くして一人っきりなの。何かあっても。。。ねっ♪」
研究員B
「モルモットはもう少し進んでから必要になるかな。
普通個体、筋肉の付いてない検体は現段階ではマダ・・・だなぁ。」
しばし歓談が続く。
時計を見た博士、
ニース博士
「おっと、もうこんな時間か。
息抜きに来たのだが、ここでも仕事の話になってしまったな。
ランちゃん、おあいそ頼む。 領収書も頼むよ。」
カードを手渡す博士。
ホステス ラン
「あぁ~、もうお帰りですか~?
じゃ、これランの携帯の番号♪ 気が向いたら連絡下さいね♪」
胸から名刺を出し、その裏に携帯の番号を書き記して博士に渡しながらカードを受け取り、
席を立つラン。
ホステス 徳江
「まぁ、博士。 モテモテですこと♪」
ニース博士
「あ、いや・・・その~・・・」
顔を赤くしながら受け取った名刺を胸のポケットにしまう博士。
ホステス 和恵
「またいらして下さいね~♪」
研究員B
「おっけー♪ 次は二人を指名しちゃおうかな♪」
ホステス 和恵
「ありがとう~♪」
ドレスのスリットから生脚をバッチリと出し、両手で研究員Bに抱きつく和恵。
その時に何かを研究員の襟に仕込んでいた。
研究員A
「あっ、いいなぁ~。。。」
ホステス 和恵
「じゃ、あなたは次に来店してくれた時にサービスしちゃいますから~♪」
ランがお会計の伝票と領収書を持ってきた。
ホステス ラン
「はい、こちらがお会計の伝票とカード明細。」
伝票を確認し、明細にサインをする博士。
ホステス ラン
「ありがとうございました。はい、領収書♪」
ニース博士
「ごちそうさま。」
その領収書の宛名を チラっ と見るとくさんと和恵。
[(株)ファイナルウエポン社]
二人、目を合わせて静かに微笑んだ。
ホステス ラン
「7番さん、お帰りで~す。。。」
3人のお客を見送った後、とくさんが五月ママの元に歩み寄る。
ホステス 徳江
「お世話様、助かったわ。 今日はお礼にこのまま二人で手伝うわ。」
五月ママ
「お安い御用ですよ。
でも徳江ママ、手伝うって・・・・単価高いからなぁ。。。」
ホステス 徳江
「お礼って言ったでしょ。 請求はしませんから (^ ^ 」
五月ママ
「いいんですか! ありがとうございま~す♪」
-つづく-
第140話 宣戦布告 へ
(ほら、怒られちゃったじゃないか)
※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。
また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。