2020/09/10(木)12:05
第4-542話 想悩のラニーニャ -05 (こいつもダメか・・・)
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ラニーニャ
「片付けてない・・・。 腹に一発食らっちまった・・・」
エルニーニャ
「おぃおぃ、そりゃ穏やかじゃないなぁ・・・。」
ラニーニャ
「あいつら、あたいが思っていたよりもヤルよ・・・。」
エルニーニャ
「一人は骨の有りそうなヤツがいたが、他には・・・・。」
ラニーニャ
「あたいにあんな衝撃を食らわせたヤツは今までにいない・・・。
にいちゃん、舐めて掛かれないよ、ここの連中。」
エルニーニャ
「そうは見えないがな・・・。 まぐれの一発がたまたま入っただけなんだよ。」
ラニーニャ
「違う、まぐれなんかじゃない。 狙って打ち込んだ一発だった・・・。」
エルニーニャ
「体が寝ていて、本調子じゃなかったんじゃないのか? 機嫌、直せよ。」
ラニーニャ
「 ・・・・ 、あたいは、あたいはこんな屈辱を今までに味わったことがない・・・。
今までが楽勝過ぎたのか、ここの連中に力があるのかわからない、けど・・・・、
ここのヤツら、野放しには出来ないと心がそう叫んでいる・・・。」
エルニーニャ
「『ラニ』が・・・・ 初めてだな、そこまで言うは。
確かに、少し気になる事柄もある連中だ・・・。
じゃ、次に出会ったら、ちゃんと相手してやるとしよう。 これでいいか?」
ラニーニャ
「 あ・・・・、あぁ・・・・。」
エルニーニャ
「よし、じゃまずは朝飯にしようか。」
会話の後も、『ラニ』は下を向き思い込んでいるようだった・・・。
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クラウス総帥
「ニース博士、一晩考えたんだが、」
ニース博士
「おはようございます。 お早いですな。」
( 研究用白服のボタンを閉めながら )
クラウス総帥
「一晩考えたんだが、あの透明にというヤツ。 あれをオレに施術できるか?」
ニース博士
「おやめになった方がよろしいかと・・・。」
クラウス総帥
「こいつもダメか・・・。」
身なりを整えながら、
ニース博士
「はい、あれは実はまだ研究半ばの状態で、本来商品化出来る段階には及んでお
りません。 課題を多く抱えておりまして。
問題なのは2っ。
1っは持続時間と申しましょうか、施術後はずっと、、、とはなっておりません事。
2っ目は、この施術を受けた者の母体、自身の体に受ける副作用の反動がござい
まして、まだ解決に至っておりません。」
クラウス総帥
「副作用・・・だと?」
ニース博士
「はい、
( 胸ポケットからタバコを取り出し火を付けた。 煙を吐き出しながら、)
透明になる ということは[光]を皮膚に操作させる訳で、直進してきた[光]を
反射・屈折させずに通過させています。ところが、人間の皮膚というのは、日の
光に全く当たらなくなると、非常に強度の無い弱い皮下組織となります。
つまり、通過させていると皮膚に[光]が当たっていない状態となり、体にさせ
たい事と透明にする事とやっている事が表裏一体、カードの裏表の事をやろうと
しており、どちらかを犠牲にしませんと、生物として、または透明にする目的と
して成り立たないのでございます。
そのバランス、程度の良いところを探る研究が次のステップでした。
ある組織からの注文では、被基本母体が人間ではありませんでした。こちらは先
方さんがそれでも構わないと承諾されました上、こちらもデータ取りになるので
契約成立としましたが、 つまり、実証実験がまだ進行中といったところです。」
クラウス総帥
「オレの体を持ってしても、その皮膚の脅威ってヤツは付きまとうのか?」
ニース博士
「左様です。総帥様は今、強靭な筋力をお持ちです。ですが、それをまとう表面
や包むモノがもろくなってしまうと、もはや原型を留めておられん状態になって
しまいます。」
クラウス総帥
「うむ・・・そういう事か。 よくわかった。 断念せざるを得んか、この方法は・・・。」
ニース博士
「はい。」
~
~
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セルフィー
「おぃおぃ、まだまだいやがるんかよ、こいつら・・・。」
イルミナルディー[秘密結社]ミカール
「起きるのが早いな。良く寝れたか?
こやつら[ゾイル]は複製クローンを大量生産できる。 今は透明な状態から
も造れる故、数には事欠かない。」
セルフィーが見渡す周囲、見上げる上方から奥へとズラーっと並ぶそのクローン生
成装置の数に、セルフィーも空いた口が塞がらない・・・。
セルフィー
「こりゃ金、掛かってるな・・・。」
イルミナルディー[秘密結社]ミカール
「大した事はない。1基57億程で出来る。」
セルフィー
「はぁ~? そんなのがこの数・・・」
イルミナルディー[秘密結社]ミカール
「我々はお金には不自由せん。 武器を売る側使う側、新種のウイルスをばらま
く側とその解毒剤・ワクチンを造る側、、お金を使う側も受け取る側も、全て
我らの手中だ。 解るか?
事が起こる表も、それを解決・使う裏側もどちらも手の中。意のままに動かせ
るのだよ。 お金なんてただの数字の移動にすぎん。」
セルフィー
「 ・・・・ 」
イルミナルディー[秘密結社]ミカール
「なんでも現代はカードやネットワーク上で取引しておるようだな。通帳の類も
数字の増減だけで。 なんとも遣り易い世の中ではないか。
それより、この機器で1体に3日程製造に掛かる。準備する必要数までには
8000基あるからまぁ20日とちょっと必要となる。
それまでは遊んでおれ。 準備が整ったら再び大竹林寺に進攻する。」
セルフィー
「 ・・・・ どこかの国の、国家予算並みじゃねーか ・・・ 」
イルミナルディー[秘密結社]ミカール
「今回は進化した姿から複製出来るため、即戦力として投入できる。
今度こそ、手に入れてくれようぞ。
まさか、再びフル稼働で生産する事になるとは、想像すらしておらなんだった
が。」
セルフィー
「上手くいきゃーいいがな。 また阻止されたら洒落になんねーぞ。
それに俺は[剣]探しに付いてきただけ。
攻め込む片棒を担ぎにきた訳じゃねー。」
イルミナルディー[秘密結社]ミカール
「お前さんに手伝ってもらわんでよい。好きにしていろ。
昨日は『エル』様との会話の流れで一緒に探す事になった訳だが、頼む用は元々
何もない。 探したいのは[剣]に興味があるとぬかした、貴様の方なのではな
いか?」
( 装置の稼働状況を眺めながら話をしているミカール )
セルフィー
「役にたたねー 剣探しても始まんねーな。
お前、見つかってねー 割には、かなりの余裕だな。 テメーまさか、本当は既に
在り処を知ってんじゃねーのか!」
イルミナルディー[秘密結社]ミカール
「応える義務はない。 使えるものにする、その為にパワーユニットを手に入れる。
( 急にセルフィーに顔を向けて、 )
パワーユニットが別の場所に分離されている事、それを誰も知らん。[剣]は話
題になっているから、もしかしたら誰かが見つけるかもしれん。
だが、我々が先に探し出し手にするのはこっちなのだよ。」
セルフィー
「くっ、分かれている事を、見つけても使える状態じゃないってことを、知るのは
我々だけって事か。」
イルミナルディー[秘密結社]ミカール
「そうだ。」
セルフィー
「あのゆうすけってガキは!」
イルミナルディー[秘密結社]ミカール
「知らんだろう。 知る由もない。 持ち主の『エル』様にしてもな。」
~
~
~
エルニーニャ
「『ラニ』、飯が丸焦げになるぞ。 そんなに思い込むな。」
イノシシの丸焼きをピンビームで刻んで、尖った棒に差して口にしていた。
ラニーニャ
「あぁ・・・・ そうだけど・・・・。」
エルニーニャ
「ちゃんと向き合って会話しよう。
( 顔と体を『ラニ』にしっかりと向き合うようにして、 )
確かにヤツら、あの防御・・・ 受け方は尋常じゃない。今までの経験では初めて
だ。 それに『ラニ』が受けた攻撃の話。 こちらも今までこんな事は無かっ
た。 何かわからない心のセンサーが、昨日は離脱へと判断させたのだが。
ヤツら、『ラニ』が思うように楽観視して対応してはいけないみたいだ。」
もう一つの尖った棒を差し出す『エル』、
-つづく-
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