2020/09/10(木)13:39
第4-551話 嵐の前のひととき -08 (文句あっか?)
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ゾルダ
「あーぁ、言わんこっちゃない・・・。」
峨眉拳 棲 陽江(す ようこう)
「グローブ付けないでって、やりだしたのあっちだよ。」
ザウバー
「リングに上がれと言ったのもな。」
ゾルダ
「まぁグローブは有っても無くても関係ねぇーがな。」
ザウバー
「だがよ、蹴り・打撃の全てを受け切るってなぁ相手をきっちり見極めねぇと難し
いな。」
ゾルダ
「どってこない連中だったじゃねぇか。」
ザウバー
「あの時のこういちだ。
オレ達どころか姉貴とRyuichi のも見切って受けてやがった。 やった事ねぇ
と勇気いるぜ。 今日のオレは分かっていたから勇気なんてな必要ないが・・・。」
峨眉拳 棲 陽江(す ようこう)
「そう言われればそうアル・・・。」
ゾルダ
「ったく・・・。 なんて野郎だ・・・。」
峨眉拳 棲 陽江(す ようこう)
「ここでの用事、あいつだけアルね、この辺りは。」
ザウバー
「あぁ。」
峨眉拳 棲 陽江(す ようこう)
「折角だから、何か美味しい物食べていくアルよ。」
ゾルダ
「そいつぁーいい。」
ザウバー
「おぉ、メシにするか。」
語り手:
では彼らが食事中に、その後何があったか説明しよう。。
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ジム男 3
「鳴らせ。」
カーーン
ゴングの音がジムに鳴り響いた。
ジム男 3
「先程のバンチューローとは階級差があった。
だがこの俺なら少しは近い。ズッシリと重い体重だけでは、守りきれんぞ!」
シッっ シッシッシッ! フンー!
ズカ パシパシパシ ズゴっ!
『やれやれー』『いぞいぞ』
門下生の意気が高まった応援。
シッっ シッシッシッ! フンー! ハッ!
ズカ パシパシパシ ズゴっ! バシっ!
バンチューローの2階級は上にあると見られるジム男 3 の拳、重い蹴りがザウバー
に襲いかかった! が、
ザウバー
「口先は動かさんでいい。 早く本気で掛かってこい。」
蹴りを食らうもやはり微動だにせず、ジム男 3 を挑発するザウバー。
『おぉ・・・』
突然意気消沈するため息に変わっていく。
ジム男 3
( こっ、こいつ! 丸で大木にでも打ち込んでいるような・・・ )
「この程度では効かぬかよ。 ならそろそろ本気のムエタイを経験してもらうとす
るか。」
シシッ シッ シッ シッ シャーー
シュシュ ズンズンズン ズゴ★
素早くも重い一撃の拳、膝、そして力を更に込めたミドルフェイクからの顔面への強
打! だが、
ザウバー
「探りはいい。口は達者の様だがおまえ、その上持ってんだろ。
早く出せよ。」
まるで避けずに受けたザウバー、そんな事を口走ったのだ。
ジム男 3
「なんだとこいつぅぅ・・・。手加減無用とな。
その上と来たか。 ならば・・・、こいつで病院のベッド送りにしてくれるっ!
お望みの、 ムエタイ Spec-01 のぉ、これがこの おれの蹴りだぁぁっ!」
シャーー
師匠の本気だと胸をときめかせたリングの周りの門下生だったが、
ガシ★ ズボっ★
一瞬で氷付いた!
今までと異なる速さと、そして渾身の力を込めたジム男 3 の蹴り! それにときめ
き、『やった』と思った門下生に突如、絶望的な光景が目の前で繰り広げられたのだ!
脚がムチの様にしなって繰り出された猛烈な蹴り、ザウバーはこれを初めて左腕で
受け、目にも止まらぬ速さで次にはジム男 3 に右拳が叩き込まれ、目は血管が浮き出て
くの字でロープに飛ばされる姿が!
ズン ポーーン 彡ドサ ドサドサ
ロープの反動で跳ね返り、リング上に転げたまま動かなくなったジム男 3 ・・・。
門下生からは声一つ漏れることなく、ただただ、起きた出来事だけを注視していた。
ザウバー
「相手が悪かったな。」
ゾルダ
「おぃ、早く担ぎ出してやれや。」
足がすくみ、その場から動く者が一人もいない。
ザウバー
「冷やかしに来た訳じゃねぇ。 ムエタイはいい競技だ。
オレらはこいつに用があっただけだ。 引き上げる。 邪魔したな。」
ロープを自ら持ち上げ、ゆっくりとリングから降りるザウバー。
3人はジムの外に足を運び、
峨眉拳 棲 陽江(す ようこう)
「格闘で利益を得ている Spec 持ちには、ほんと容赦ないアルね。」
ザウバー
「地球が無くなるかもしれねぇって時に、のんきにその力で銭儲けたぁ気に要ら
ねえ。」
峨眉拳 棲 陽江(す ようこう)
「だから、さっきの南極調査の人には手を出さなかったアルね。」
ザウバー
「あの日、ゆうすけに貰ったオレ達の行動の手引きだ。
まだ方々に散らばってやがる。 前総帥時代の Spec 戦闘員 の残党がな。」
ゾルダ
「あーぁ、言わんこっちゃない・・・。」
峨眉拳 棲 陽江(す ようこう)
「グローブ付けないでって、やりだしたのあっちだよ。」
ザウバー
「リングに上がれと言ったのもな。」
ゾルダ
「まぁグローブは有っても無くても関係ねぇーがな。」
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語り手: な、なにか、いい事してません?
ゾルダ
「文句あっか?」
拳を握り、振り上げて顔を出したゾルダ。
語り手: うわぁ・・・ こ、怖・・・
ザウバー
「ただの暇つぶし、それだけだ。」
峨眉拳 棲 陽江(す ようこう)
「婚前旅行も兼ねてるアルよ♪」
語り手: は、はい・・・、そ、それは良かったですね・・・。
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チャポーン チャポーン
鍾乳洞の天井からつららを伝い、雫がひとつ、またひとつと落ちてくる。
スペック-3戦闘員 キジュロ
「なんだよ、雰囲気あるところだな。」
ひんやりとした洞窟内、さらに奥に進むキジュロ。 再びポタン、ポタンとツララ状
に垂れ下がった石灰を伝い、落ちてきた水滴が体を叩く。
時折狭いスペースだったり、突然広がったりと、薄暗い洞窟の中を進むと、突如、天
井が高く横幅もタップリの大空間に到着する。
スペック-3戦闘員 キジュロ
「んん~?」
立ち止まったキジュロの視界には、全拳武道団 支部長達があちらこちらに血反吐を
吐いて倒れている姿が・・・。
辺りを見ながらゆっくりと近寄り、足蹴りで体を仰向けにするも、
スペック-3戦闘員 キジュロ
「こいつらも逝っちまってるか。 だらしないやつらだぜ。」
遺体を眺めつつ、そう漏らした時だった。
スペック-3戦闘員 キジュロ
「んっ !? 」
何かを感じ、広いスペースを見渡しとっさに移動したキジュロ。 シャっ彡
すると、岩壁にふわっと扉の形が現れ、音を立てて開き始めたのだった。
ズズズゴトゴトゴト
そして、何も知らず中から現れたのは あの[前 近衛軍副長]トンコウ。
数歩前に出ると扉は自然と閉まり始め、そしてふわっと見えなくなっていったので
あった。
[前 近衛軍副長]トンコウ
「チュウラン様のご配慮で、命を救われた・・・。
本来、竹林の裏切り行為は重罪で重い刑罰か命を絶たれてしまう・・・。 ミカー
ルめ、ここに攻めこむなんて聞いてないし、こんなことになるとは思ってもみ
なかった・・・。
再びミカールが私を目がけて移動してきても良いようにと、しばらくここに身
を置けと。この程度の罰で済むとは有り難いことだ・・・。」
独り言でぶつぶつと口元を動かしながら、スペースの奥へと歩き出した。
岩壁の上方にへばりついて身を隠し、その様子を伺っていたキジュロ、
スペック-3戦闘員 キジュロ
( 現れては消える扉だぁ~? なんだそりゃ・・・ )
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ゆうすけ
「姉さんの話では、Spec-01 とほぼ同数と。 だから50,000体超えかな。」
[近衛軍長]チーラン
「倍近く・・・」
-つづく-
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(お前、ここの者か?)
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