①
“F”は、
「相談コーナーの入り口が事務所ドア側にあり、ドアのカラス部分から事務所内が見えることから、相談者が相談コーナーに出入りするところが他の利用者から見える」
ことを理由に、
「事務所ドアのガラス部分に目隠しをして、且つ、相談コーナーの出入り口を事務所ドア側から見えないようにし、相談中は『相談中につき立入禁止』の札を掛けて他の利用者が事務所内に立ち入らないようにする」
ことを指示したものである。
②
しかし、仮に“F”の指示通りに措置を施したとしても、事務所のドアに「相談中につき立入禁止」の札がかかっていれば、誰かが事務所内の相談コーナーで相談を受けていることは他の利用者には解ることであり、その事務所から相談を終えた相談者が出てくれば、その者が相談を受けていたことは一目瞭然である。
つまり、「相談を受けること自体」を隠すことは、“F”の指示通りに措置をおこなってもできないのである。
③
そもそも、「相談を受けること自体」を隠すことなどは、理論上不可能である。
例えば相談コーナーを事務所内におかず、他の利用者の存在する場所から離れた場所に別途相談室を設けたとしても、相談者が普段利用者のいる場所ではない“相談室のある方向”に向かって歩いていく姿を見られたり、その方向から帰ってきたりすれば、他の利用者からは相談を受けたものであることは一目瞭然である。
また相談室の付近に、利用者が使用する相談室以外の施設を設け、相談者が相談室方向に行き来するだけでは相談を受けたか否かが解らないようにしたとしても、相談室付近に利用者が使用する施設がある以上、相談室近辺を他の利用者が行き交うこととなり、相談者が相談室に出入りするところを直接見られることになる。