あのダートの記憶

2016/09/17(土)13:56

持ちタイムの優位差を生かして!最低人気シングンラッパの”驚”進軍

1998年1月5日の水沢競馬7Rより。 明け5歳(旧年齢)のC条件の一戦となったレース。ここでは、10頭立て10番人気のシンガリ人気ながら、3着に好走、複勝7.5倍の好配を演出したシングンラッパについてみていく。同馬の複勝がどうやったら取れたのか、その経緯を紐解いていきたい。 まず、全馬の前走だけを注目したい。前走、1400mを走っている馬が8頭、1600mを走っている馬が2頭で、シングンラッパは1600mを走っていた。この1400mのタイムが2着した馬でも重馬場で1分34秒5、1着した馬でさえやや重で1分34秒7である。特にナグルチャンスが勝ったC1級のレースに出走している馬が過半数を占める6頭もおり、3着以下は1分35秒0以下の時計だ。これは買うに値しない時計。この組の馬でも、その前のレースをみてみると、1分32秒台の時計を出している馬もいるが、ナグルチャンス組のレベルが明らかに低いのに、そこで結果を出せなかった平凡なタイムで走っている馬を信用してもいいのだろうか?やはり別路線の馬を吟味し、そちらの妙味を取るべきだろう。事実、このナグルチャンス組からはこの1月5日のレースで2着に入ったペガサスストームのみが馬券に絡むのだが、同馬は前走転入初戦でシンガリ負け。今回、一変しての2着だった。一番走れなかった馬が馬券に絡む。それほどのレースレベルであった。また、それはタイムが物語っている。 前走、ナグルチャンス組がレベルが低かったのは示せたが、他1400m組は、実際のレースで勝つことになる、エイユーエドランゼが1着も、前述通りタイムが1分34秒7.トキノタイミングはB級とはいえ、9秒8をのタイム差をつけられの10着大敗、しかも今回は休み明け初戦だ。となると、エイユーエドランゼもタイム面からイマイチ信用できないし、トキノタイミングは狙いにくい。そういったメンバーが集うレースなら、前走1600mを使ったシングンラッパ(10着)、ダンスマップ(9着)を狙ってみるのがセオリーだと私は思う。ここでは実際に馬券に絡むシングンラッパだけに焦点をあてるのだが、まず、1600m組ということは、当然の事ではあるが1400mで力を発揮できる可能性があること。また、これは人気妙味の観点からなのだが、不適距離で大敗した後は人気も下がりやすい。そこでベストな条件で力を発揮できる馬を狙うというのが1点だ。そこは適合していたのか?通用する力は馬柱から読み取れたのか?次節で解説していく。 確かにシングンラッパは前走だけみると悪く、1600mのB級をシンガリ負け、4秒2差だった。前々走は同じB級で1秒6差8着だった。だが、この2走では2秒3をも時計が離れていて、前々走だけ走れる力はあるという形で捉えないといけない。クラスが一つ上であるし、距離も1F長い。柔軟な考え方をしたい。その前が水沢競馬で使った1400m戦なのだが、ここでは5着、時計1分33秒4で0秒7差である。これだけ見ると十分に戦える力を持っているということにもなるし、ナグルチャンス組のメンバーと比べても何ら遜色ない時計と着差である。当地の同距離でのサンプルはこれだけであるので、むしろサンプリングが一つしかないレースで好走、しかも着差も僅かで時計也に走っている。買えない要素はないのではないか。クラスが違えど、明らかに水沢1600mと競馬の内容が違うし、同馬にとってC級に下がっての1400m戦は良いことずくめであったろう。C級のみ、同条件のみで比べた時にシングンラッパの良さが分かってくるのである。 しかし、分かっていたとはいえ、ナグルチャンス組は不甲斐なかった。最先着のロックチケットが1番人気に支持されたものの、2秒0差の8着。実際のレースでレベルの低さを露呈してしまった。そんなレースだからこそ、クラス下がって条件揃えば大威張りできる存在もいるわけで、それが今回のシングンラッパだった。シングンラッパの1400mでの成績、前走、前々走の条件不適の考え方が重要なファクターであった。競馬は紐解いていく作業と己の経験によって成り立っている頭脳スポーツだが、このようなレースにこそ、まずは紐解いていく作業の中に買いたい馬の良いところをどれだけ引き出せるかが最も重要であると思う。今回のシングンラッパの1400mでの一戦は、まさに良いところ、この一戦があったからこそ、ここでも走れるというのが見出せたのである。

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