映画レビュー 「しあわせな選択」
(C)2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED.この作品がコメディと聞き、耳を疑った。コメディならばブラック・コメディだろうか。題名といい、内容といい、とてもコメディではない。映画.comに’’アイロニーとブラックユーモアを交えて描いたサスペンスドラマ’’とあったが、それならばわかる。まさにブラック・ユーモアである。韓国ドラマ「愛の不時着」で再発見したソン・イエジン(손예진)の出産後復帰作になるのであろうか。推し女優となった彼女の作品は評判も呼んでいるので見に行かねばならない。映画館の観客は大人ばかり。一人で鑑賞に来ている人も多い。かくいう私も一人鑑賞だ。製紙会社に勤めるエリート会社員(イ・ビョンホン)が勤続25年を感賞された、つまり褒めたたえられたと思った賞品のウナギが実は手切れの品。首切りにあってしまった。再就職を試みるも製紙業界一筋、紙の素晴らしさを骨の髄まで叩き込んでいるので他業種にいくこともかなわない。機械化による人員整理の荒波で他社のエリートも軒並み首切りにあっている。自身が製紙会社に再就職するにはライバルである彼らを亡き者にしないとと実行へ……。そんな夫の隠れた行状に気づいた妻(ソン・イエジン)は問いただすこともなく応援しようと……。最後まで見ると管理者一人で済んでしまう最新鋭の工場は驚くほど斬新で、山林で木を切り倒す仕事も伐採機械でまったく人出がいらない優れもの。その工場内や山林での伐採作業を見るや労働力がいらないことに衝撃を受ける。ライバルの妻役のヨム・ヘランの演技はとても良かった。このダークサイドの作品は韓国映画らしく、日本映画では作られない質のものと思えるが、韓流にはまる日本の若者たちであるならばこのような作品も作ってしまうのだろうか。真っ当なものがなくなってしまうことが恐ろしい。2025年/韓国/139分/PG12監督:パク・チャヌク原作:ドナルド・E・ウェストレイク脚本:パク・チャヌク、イ・ギョンミ、ドン・マッケラー、イ・ジャヘ出演:イ・ビョンホン、ソン・イェジン、パク・ヒスン、イ・ソンミン、ヨム・ヘラン、チャ・スンウォン原題:No Other Choice(「他の選択肢なし」)お薦め度「しあわせな選択」★★★☆(70%)字幕翻訳:根本理恵