マイライフ・マイシネマアルカディア

2020/07/04(土)10:35

「シャイニング」

家で見た映画(1716)

地上波放送を録画して今日見た。 ついに見た。 やっと見た。 食わず嫌いであったが、わざわざ見てくださいとテレビでするのだから、見ても良いのではと思えて見た。見て思った。感じた。キューブリックという監督を思い違いしていたのではないかと。 <ネタバレ>(要注意!!) 「2001年宇宙の旅」で絶大な人気と支持を得た。「時計じかけのオレンジ」ではカルト的人気を、「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」でも小難しく理解しがたい難題で人気を得た。「フルメタル・ジャケット」も「アイズワイドシャット」も心に響くものはなかった。理解しがたい非常識知識人のように思えていたが、また巨匠のようにも思えていたが、「シャイニング」を見て、考えが変わった。あまりにもベタな音楽、あまりにもマッチする役者。見て聴いて恐怖心をあおるようにしかとらえられない作りであった。それでいて目の前で起こっていることは夢なのか、幻想なのか、頭の中の出来事なのか、現実なのか、だんだんわからなくなる。そして、それについて説明も解決もしていない。こんなハチャメチャでとんでもない作品が人気を呼びヒットして名作ホラーの金字塔となったのか、解せない。不可思議ながら空恐ろしい恐怖を掻き立てる「ポルターガイスト」のほうがよっぽどいいし。怖い。ジャック・ニコルソンも精神異常者であるならば「カッコーの巣の上で」の方がよっぽどいい。 キューブリックで認める作品がひとつだけあった「スパルタカス」である。史実に基づいた作品でいろいろ書き換えるわけにはいかなかったから傑作になったのかと思えば、けっこう書き換えたらしい。しかし、製作総指揮は主演のカーク・ダグラスであり、自身の思うようには撮れず、監督とはいえ現場監督のような役回りではなかったかと考えられる。もともとはダルトン・トランボが脚本を担当し、アンソニー・マンが監督をした作品で、カーク・ダグラスとアンソニー・マンが衝突して当時無名のスタンリー・キューブリックが呼び寄せられたとのこと。それゆえか”あくまで監督として「雇われた」だけだと言い張り、死ぬまでこの映画を自分の作品とは認めず、「あの映画には失望した」とまで言っていた。”(WIKIPEDIA)とのこと。 彼にとっては理路整然として文学的芸術的なものは認めず、形而上あるいは形而上学的なものを表現しようとし頭の中にあるものを投影した作品を構築したかったのではと思える。それを結実させたのが「2001年宇宙の旅」ではないだろうか。残念ながらこの「2001年宇宙の旅」の良さは私にはわからない。それゆえ雲をつかむような印象のキューブリックであったが、「シャイニング」を見ることによって、俗世的で偏狭なオタクだったのではと思えた。というのも作品の中で”シャイニング”についての説明がほとんどなく、その”シャイニング”の能力を活かすこともなかった。ベストセラー作家のステーブン・キングがこのような作品を執筆するのだろうかと思え、原作を読んでみたいと思ったが、そこまではできずググってみた。WIKIPEDIAによると、原作を大幅に変えてしまった映画作品に対しキューブリックはバッシングを繰り返したとのことである。また、自身でテレビドラマを製作している。ググって『​海外ドラマ スティーブン・キングが作り直した「シャイニング」​』というブログがあったので読んでみた。”邪悪な意思を持つ巨大なホテル”という説明文があり、なるほどと思えた。そこが映画では描かれていない。描き切れていない部分である。もちろん、不思議な体験は数々するのだけれどそれがホテルの意思とは表現されていない。登場人物たちの妄想ともとらえられるのである。 ホラー作品として名をあげた今作「シャイニング」であるが、それは襲いかかる映像が、追いかけまわす映像が、おどろおどろしい映像が脚光を浴びただけで作品としての質としては特筆すべきものではない気がする。 最後に付するが、エンディングがカットされているとのこと。そのエンディングがカットされたことによりますます難解な作品になったとシェリー・デュバルが言っている。(WIKIPEDIA) スタンリー・キューブリックは2001年を迎えることなく1999年3月7日心臓発作により亡くなっている。 合掌。 1980年/アメリカ/119分/ 監督:スタンリー・キューブリック 原作:スティーブン・キング 脚本:スタンリー・キューブリック、ダイアン・ジョンソン 出演:ジャック・ニコルソン、シェリー・デュバル、ダニー・ロイド、スキャットロマン・クローザース、バリー・ネルソン、フィリップ・ストーン、ジョー・ターケル、アン・ジャクソン、トニー・バートン 原題:The Shining(「輝く能力」) お薦め度 「​シャイニング​」★★★(60%)

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