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2021/06/19(土)09:48

「岸惠子自伝 卵を割らなければ、オムレツは食べられない」岸惠子:著 岩波書店

読書(470)

88歳の名女優、岸惠子の自伝。 日本経済新聞に掲載した「私の履歴書」に加筆したものを出版したらしい。 「私の履歴書」の書籍化の本を読むのは俳優、笠智衆の「俳優になろうか」以来。 岸惠子の生い立ちが読めると勢い込んで買って読んでみた。 前半は戦前、戦中の生きざまから当時の様子から興味津々に読んでいった。女学校時代の大船撮影所のところはさらに興味が募った。研究生という名目で、ギャラがなかったり、少額の固定制だったのは、人気があり売れっ子だったのに気の毒である。その後、改善されたようだけれど。 「君の名は」の真知子で一世を風靡したうさわは伝え聞いているけれど、いまだその作品は見たことがない。ウイリアム・ホールデンとの恋バナ(?)をきいた覚えはあるのだけれど、ハリウッド出演を振って、映画「雪国」を最後にフランス人医師で映画監督のイヴ・シアンピと結婚するために渡仏したのは驚愕のニュースだったと思える。 岸惠子、その存在は知っていても作品は知らず。映画としては「細雪」(1983)くらいしか見ていない。「たそがれ清兵衛」は見ているが、自伝ではナレーションとなっている。そんな岸惠子は”パリのおばさま”の印象が強い。山口百恵、三浦友和のゴールデンコンビのテレビドラマ「​赤い疑惑​」での幸子(山口百恵)の叔母役である。パリ在住の叔母役は岸惠子そのものだったのかもしれない。あとは自伝にも書かれているNHK朝ドラ「​こころ​」。ヒロイン中越典子の祖母役で、伊藤蘭の母役。すっくと立ち姿の美しい岸惠子を覚えている。数々の作品に出演しているのに、見ているものが少ないのは恐縮するが、長年、映像の世界で生きた割には出演作が少ない。それは自伝を読めばわかるが、岸惠子は女優というよりジャーナリストであったようだ。アフリカや中東の世界に興味を持ち、紛争地やジャングルに乗り込んで、時には単身で取材といったこともあったようだ。社会、世界情勢にとても大きな関心があり、疑問を持てば追求せずにはいられなかったようだ。映像畑でありながら自著「わりなき恋」を舞台化した経緯も書いてあり、興味深く読んだ。 子育て、娘との葛藤も書かれており、読みどころはたくさんあり、堪能させていただいた。 コロナ禍でフランスの娘、孫たちに2年以上会えていないとのこと。健康に留意されて、再会されることを願う。 岸惠子の気持ち、精神がわかる素敵な本でした。 ​ わりなき恋 (幻冬舎文庫) [ 岸恵子 ]​ ​ わりなき恋 [ 岸恵子 ] ​ 岸惠子自伝 卵を割らなければ,オムレツは食べられない [ 岸 惠子 ]​​

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