2022/03/10(木)22:49
映画レビュー 「君の名前で僕を呼んで」
(C)Frenesy, La Cinefacture
評判の作品「君の名前で僕を呼んで」を見た。
BLというものを敬遠する私にはとっつきにくい作品だった。しかし、好きな作品としてあげる映画ファンが多いのでいつかは見なくては、と。
そして、見てみたが…。
やはりBLは好みじゃないみたい。
見ていても全然引き込まれない。
というよりもさらに嫌悪してしまっていた。
見ながら、ふと映画「さらば、わが愛/覇王別姫」を思い出して、あの京劇の愛には打ち震えるほど感動し涙流したのにと考え、この「君の名前で僕を呼んで」の2人には感じ入ることが出来ないのか。無関心ともいえる素っ気ない素振りが気に入らないのか、それともプラトニック・ラブはいいけれど肉体関係は認められないのかなど考えを巡らせた。思うに、いちもつが気味悪く、それが想像される肉体は現実として受け入れられないのかもしれない。
クライマックスを迎え、納得も理解もできないままだったけれど、自宅に戻った彼、エリオを優しくむかえた父の言葉が身に染みた。父親は私の世代くらいであろうか。見えない何かに束縛され心の赴くままに出来なかった自身を回顧しながら息子に託す。今の時代、未来への言葉のように感じた。それまで漫然と理解しえない作品にしか思えなかったけれど、突然、かけがえのない珠玉の名作のように思えた。胸に染みわたる言葉。素敵な作品であるといえよう。
Amazon Prime Videoにて
2017年/イタリア・フランス・ブラジル・アメリカ/132分/PG12
監督:ルカ・グァダニーノ
原作:アンドレ・アシマン
脚本:ジェームズ・アイボリー
出演:アーミー・ハーマー、ティモシー・シャラメ、マイケル・スタールバーグ、アミラ・カサール、エステール・ガレル、ビクトワール。デュボワ、バンダ・カブリオーロ、アントニオ・リモルティ、アンドレ・アシマン、ピーター・スピアーズ
原題:Call Me by Your Name(「君の名前で僕を呼んで」)
お薦め度
「君の名前で僕を呼んで」★★★★(80%)