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2023/05/14(日)22:58

読書レビュー 「書店ガール3 託された一冊」碧野圭:著 PHP文芸文庫

読書(470)

エリア・マネージャーを店長職と兼任することになった西岡理子は仙台に本店がある櫂文堂書店をも統括することとなり出張でリニューアルオープンを準備していた。東日本大震災から3年、復興と震災は東京では忘れられつつあった。東北ではまだまだ復興最中といった状態。新しく傘下に入った櫂文堂書店をどうするのか。名物書店員だった男性を現場に戻し、櫂文堂書店らしい店づくりで店舗名を残して再開する。エリア・マネージャーである西岡理子は、それを選んだ。地元東北の書店員たちとの壁や軋轢を交流していくことによってなくしていく。 一方、産後、復帰した小幡亜紀は文芸を離れ、経済書の担当となった。そこに訪れる口うるさい老人。経済書の知識も経験もない小幡亜紀にとっては嫌なお客だった。それが、子育てとともに悪戦苦闘しているとまわりの人の助けに気づくことによって小幡亜紀の意識も変わり、新宿本店のMDに異動することを決心するようになる。 紆余曲折を経て震災関連のブックフェアを行うことになり、尽力する書店員たち。それぞれに賛成反対の意見があり、思いがある。 今回、中心となるのは東日本大震災の被災と復興と被災した本屋である。 小説ではあるが震災について書かれた本を始めて読んだ。 今年で12年経ったけれど、忘れていた記憶を思い出させてくれて、考えさせられた。 解説の島田潤一郎氏が書かれているが ”未曽有の大震災のあとでも、人びとは本屋さんへ行く。日常を取り戻しに、または、心の「解決の糸口を求めて」、棚をじっと眺める。彼らは本をとおして、本屋さんをとおして、人と出会う。  震災のあと、書店員だけでなく、作家、編集者、営業マン、出版業界にたずさわるあらゆる人びとが、本に、本屋になにができるのか、と自らに問わなければならなかった。それは経験したことがないくらい、重苦しい時間だった。けれど、そうした時間を過ごしたからこそ、発見できるものもたくさんあった。『書店ガール3』には、その大切なものが、いくつも描かれている。” とある。 また、”ぼくは、『書店ガール3』の最後の一ページを読んで、とても感動した。” とある。 ぼくは、最後の一ページを含む、最後の五ページ(最後の件)にとても感動した。 ​ 書店ガール 3 託された一冊 PHP文芸文庫 / 碧野圭 【文庫】

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