2023/05/20(土)11:20
読書レビュー 「書店ガール4 パンと就活」碧野圭:著 PHP文芸文庫
主人公であったエリア・マネージャー兼店長の西岡理子と本社MDの小幡亜紀の二人は名前が出てくるくらいで、主人公は高梨愛奈と宮崎彩加にかわった。高梨愛奈は小幡亜紀の後輩になる大学生アルバイトで宮崎彩加はライバルの駅ビル書店の契約社員だ。
宮崎彩加は契約社員が4年ほどだったが正社員登用を打診される。正社員となれば異動が決まり、新しく駅構内のキオスクのような狭小なスペースの店長となる。静岡・沼津の出身で叔父が遺した地方の商店街の書店を叔母が引き継いでいて相談が持ち込まれる。地方活性の問題も描かれる。
高梨愛奈は就活に出遅れて悩みながら書店(編集者など)への就職を目指し、アルバイトの幕引きに就活フェアを提案する。
悲喜こもごも友人・家族を交えながら仕事にかける思いに読み手は感動する。
数多羅列される書名の数々、就活フェアにピックアップされた本たちであるが、これらをピックアップするだけでもその読書量、探索力など驚嘆に値するほどの多さである。
書店員たるものここまでするか、といったところはカリスマ書店員などともてはやされている人も出ているこの頃、当然なのかもしれない。しかし、それを書きだし提示できる作家・碧野圭の本に対する慧眼に感嘆する。また、懐かしの一冊。絶版となっていた本を探し出すくだりも読書する者としてはとても感じ入るものがあった。
読みどころのある本だと思える。
書店ガール4 パンと就活 PHP文芸文庫 / 碧野圭 【文庫】