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2024/03/11(月)23:56

読書レビュー 「光のとこにいてね」一穂ミチ:著 文藝春秋社

読書(470)

「キノベス!2023」1位「汝、星のごとく」2位「光のとこにいてね」「2023年本屋大賞」1位「汝、星のごとく」2位「ラブカは静かに弓を持つ」3位「光のとこにいてね」「第168回直木賞」「地図と拳」「しろがねの葉」、候補作「汝、星のごとく」「光のとこにいてね」「汝、星のごとく」が「光のとこにいてね」を上回った。直木賞では林真理子氏が「同じテイストを持っていたため脚をひっぱり合っていたような気がしてならない。」とあるように似たものとして評価が低くなってしまったのかもしれない。「光のとこにいてね」は導入部から中盤までは良いのだけれど、佳境となる終章「光のところ」になると二人の関係というか思いが不明になっていくように思われて、ラストに締まりがない。その点、「汝、星のごとく」は秀逸でエキサイティングだった気がする。また、「ラブカが静かに弓を持つ」も面白く、興味を持って読めた作品だ。直木賞は時代小説ゆえ受賞したのかもだけれど「しろがねの葉」は感激度やシンパシィでは「汝、星のごとく」や「光のとこにいてね」ほどではなかった。「地図と拳」は未読なので、わからない。このシンパシィというか共感とも思える主人公二人にはとても心酔するような感じで読み進めた。年月を経て交錯することは興味深く、大人となってしまった時の不慮の再会は刺激的であった。家族の人たちの存在感が乏しく、それぞれが排他的であるのも、主人公たちに友達がいないのも納得(?)であった。とても同情と言うよりは同調して読んでいたので、読むのが嬉しくて嬉しくて、幸せ気分で読んだ。読み終える時にほんとお別れするのが寂しく感じられた。さて、この本、クライマックスの怒涛のような展開とありえない果遠の行動に不明瞭な感触のまま読み終えた。この終わりなき終わり方がこの本の評価を曇らせているのかもしれない。しかし、好きだなぁ。とても好きな感じがした。 ​ 光のとこにいてね [ 一穂 ミチ ]​

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