2024/07/25(木)23:05
読書レビュー 「店長がバカすぎて」早見和真:著 ハルキ文庫
なんて題名だ。
こんな題名は嫌なので決して読まない…はずだった。
「笑うマトリョーシカ」があまりに秀逸だったので、興味を持ってしまい、この下劣な題名の本を読んで見ようと思い立った。
なんだ!これは!?
書店員の本としては「書店ガール」があり、シリーズ全作を読んで、感動した。この下劣な題名の本に感動するようなことがあるかと思っていたが、感動とはいかないがおおいに感じ入るものがあった。2020年の本屋大賞第9位になるくらいだから感じ入る書店員さんも多かったのだろう。それにしても「書店ガール」もこの本も所は吉祥寺。作家が注目する街は吉祥寺なのだろうか。そして吉祥寺駅は日々乗り降りするところなのでなじみがある。
さて、吉祥寺に本店を構える武蔵野エリアの地域書店に勤める契約社員女子が主人公であある。女子といっても20代後半アラサーである。薄給で正社員とアルバイトの板挟みで仕事のしわ寄せを受けてしまう。そんな彼女が店長や版元の圧力に抗いながら孤軍奮闘、いろいろな思いや悩みを抱えながら仕事に励む姿勢が綴られている。それぞれの章で驚くこと感心することが描かれ、ふんふんと読んでいくと最終章に至ってあらゆることが点や線でなく円で繋がっているように集約される。とても意外で聡明な本であった。
であるが、やはり「店長がバカすぎて」とう題名はイヤだ。
店長がバカすぎて (ハルキ文庫) [ 早見 和真 ]