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テーマ:読書(8696)
カテゴリ:読書
「海の見える街」で強烈に心酔した私は”畑野智美の新たな代表作”という謳い文句に釣られて、即座に買った。 読み始めるまでに時間がかかったが、無事、読み終えた。 この本は「海の見える街」とは違って、心酔するものがない。今時の話で、誰かを好きになることなどなく、性欲もないという男性が主人公である。感情の起伏があまりなく、とはいえ、まわりのことは過敏に感じる。繊細なとても繊細な心の持ち主である。 激烈な死の淵までついていく、くらいの恋愛に興味のある私からすれば、なんと希薄な心持なのか、と思える。 主人公の気持ちがわからないわけではない。よくわかる。よくわかるが、共感できるかといわれれば、共感できない。異性にも恋にも性にも興味のある男性として、同じ立ち位置に立てないだけである。それゆえ、読後感もわかるけれど平静といったもの。しかし、この平静こそがこの本の真骨頂なのかもしれない。 世界のすべて [ 畑野智美 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.11.07 23:37:33
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